2009年 サイエンスフロンティア インフォメーション



        

横浜サイエンスフロンティア高校 説明会



               平成21年11月3日(火)





                     説明会次第





   (1) 
開会の辞                   相川先生

   (2) 
YSFHスーパーアドバイザーのお話   和田先生


   (3) 
学校説明



    
        校長挨拶          佐藤校長



              
本校の教育について



    @ 
教育課程の説明            植草先生

    A 
学校生活・施設の紹介         生徒会事務局

    B 
21年度入試の報告
      
22年度入学者選抜について     栗原副校長












     
和田先生のお話


横浜サイエンスフロンティア高校は、日本で初めてサイエンスの冠のついた高校です。
若い頭脳は、柔らかであらゆる可能性を持っています。




                
智恵と知識の三本柱



知識だけでは発展がありません。
智恵によって知識を集めて膨らませることが大切です。
学校・家庭のそれぞれにおいて、折々の感得(感じ悟ること)・修練・会話と議論が必要です。







                   知を備蓄

                 
知る/みつける


                          

         知を駆使              作業・実験
        
解る/納得する     作る/まとめる




            
上のサイクルを回すのが智恵である











佐藤校長の話



どの学校に進むかはこれからの人生を決める上で大きなウェイトを占めています。

個人それぞれにおいて、自分に合っている
、また自分の夢を実現させるために最もよい学校を選択してください。

サイエンスフロンティア高校では、我々指導者もベストを尽くしますが、入学をめざす生徒諸君も指導内容を理解した上で高い意識と相応な覚悟を持って受験に臨んで頂きたいと思っています。













植草先生のお話


他校に見られない特徴として、横浜サイエンスフロンティア高校は、10の大学・25名の
科学技術顧問の先生から直接指導を受けられるということがあげられます。高校に直接来ていただいたり、東大・横浜市大・慶大などに出向いて講義を受けたり、実験をすることができます。


(横浜サイエンスフロンティア高校のカリキュラムを説明した後で)

理数科の学校ですが、文系の科目にも多くの時間を割いており、将来、
文系方面で活躍する人も数多く出てくることが予想されます。

横浜サイエンスフロンティア高校が、他の高校と異なる点は
「驚きと感動」が体験できるということです。
例えば、「葉の様子」を学習する時に1人1台ずつの高性能顕微鏡によって、教科書よりもさらに詳しい構造が視覚によって脳に印象付けられます。

また、天体に余り興味がなかった生徒も高倍率の天体望遠鏡を通して見る宇宙の姿に今まで体験したことのない感動を覚え、自然科学に対する関心を広げていくことができます。













栗原副校長のお話




4月に開校して以来、多くの新聞・TV・ラジオに取り上げられ、いろいろな方からお問い合わせを頂きました。初年度入試合格者の内申点・後期入試得点の詳細をお知らせします。





前期選抜・後期選抜合格者の内申点結果

内申点(135点満点) 前期 後期
最高 135 132
最低 120 87
平均 127.9 114.8

※ 前期選抜入学者69名の内、36名が国語・数学・理科・英語の4教科が評価









後期選抜の入試得点(初年度は共通問題)

入試得点(250点満点) 後期
最高 245
最低 198
平均 223.5










入試得点:YSFHと神奈川県平均との比較


合格者平均 YSFH 県平均
国語 45.6 39.2
社会 39.9 30.9
数学 43.8 32.2
理科 46.5 33.5
英語 47.9 36.7











        7・8月入試説明会のアンケート結果



    7・8月の説明会に出席された方の学区外・学区内割合


学区外 39.6% 学区内 58.4% 不明

※ 学区外の中には、現在の居住地では受験不可能(神奈川県以外)の方も含んでいます。








今回の主な変更点は、後期2次選考(入試得点のみで選考)が4科目(理科・数学・英語・国語)になりました。200点満点になります。初年度の3科目に国語が追加となりました。


国語・数学・英語は
サイエンスフロンティア独自問題となります。詳細は市教委のHPでご確認下さい。



横浜市教育委員会【横浜市立高校入学者選抜】
            クリックしてください。










                            横浜サイエンスフロンティア高校説明会より










                                             平成20年度 前期選抜結果

前・後期
募集定員
前期
募集率
前期選抜
募集人数
志願者 受験者 受験倍率 合格者 実質倍率
237人 30% 71人 372人 370人 5.21倍 71人
学区外
15人含
5.21倍


                                             平成20年度 後期選抜結果

前・後期
募集定員
後期
募集率
後期選抜
募集人数
志願者 受験者 受験倍率 合格者 実質倍率
237人 70% 166人 355人
変更後
326人
308人
学区外
62人含
1.86倍 169名
学区外
40人含
1.82倍



入学者についての詳細
前・後期入学者について 合計237名
前期選抜による入学者 69名
後期選抜による入学者 168名


学区内・外別 人数 人数 割合
学区内入学者 183名 77.2%
学区外入学者 54名 22.8%


男・女別 人数 人数 割合
男子入学者 169名 71.3%
女子入学者 68名 28.7%



出身中学校別 入学者数 市内合計167名 入学者全体の70.5%
横浜市 区別 人数 市内での割合(小数2位四捨五入)
青葉区 20名 12.0%
都筑区 13名 7.8%
磯子区 12名 7.2%
戸塚区 12名 7.2%
旭区 11名 6.6%
神奈川区 11名 6.6%
瀬谷区 11名 6.6%
港南区 10名 6.0%
南区 10名 6.0%
鶴見区 9名 5.4%
保土ヶ谷区 9名 5.4%
港北区 8名 4.8%
緑区 8名 4.8%
泉区 7名 4.2%
金沢区 7名 4.2%
西区 4名 2.4%
栄区 3名 1.8%
中区 2名 1.2%







出身中学校別 入学者数 他市・町立合計52名 入学者全体の21.9%
県内 他都市・町 人数 他市・町での割合(小数2位四捨五入)
川崎市 11名 21.2%
横須賀市 10名 19.2%
鎌倉市 4名 7.7%
藤沢市 4名 7.7%
座間市 4名 7.7%
大和市 3名 5.8%
相模原市 3名 5.8%
茅ヶ崎市 3名 5.8%
三浦市 3名 5.8%
綾瀬市 2名 3.8%
平塚市 2名 3.8%
厚木市 1名 1.9%
葉山町 1名 1.9%
秦野市 1名 1.9%


出身中学校別 入学者数 その他 計18名 入学者全体の7.6%
国立・私立中学校出身者 人数 割合
横浜国大附属 横浜・鎌倉中学校 13名 5.5%
私立中学校 5名 2.1%

                                       横浜サイエンスフロンティア高校発表
              











横浜サイエンスフロンティア高校 合格者 平均値




           
平成20年度 合格者平均値 (全県模試受験者)

前期内申・135点満点換算 後期内申・135点満点換算 後期入試得点・250点満点 後期偏差値
127点 114点 225点 62

                                                   高校入試研究会



※ 横浜サイエンスフロンティア高校の内申は、数学・理科・英語の3教科の評点が2年で2倍、3年で4倍されますので、実際は180点満点となります。



※ 横浜サイエンスフロンティア高校は、
前期選抜において自己表現活動面接が実施されます。それらと内申を合わせた総合評価で合否判定が行われます。よって内申が130点(135点満点)を超えても不合格、また120点前半でも合格になる場合があります。点数だけで他校と比較する場合はそのことを考慮しておく必要があります。





来年度変更点


※ 横浜サイエンスフロンティア高校・
後期選抜・2次選考は、国語 ・数学 
科 英語4教科の合計点数(200点満点)だけで合否判定されます。

※ 国語・数学・英語は独自入試問題となります。


※ 初年度平成21年入試・後期2次は、3教科(数・理・英)で合否判定されました。合格推定点は以前にもお知らせした通り、1教科・
46点前後だったと予想されます。







横浜サイエンスフロンティア高校 模擬試験結果によるレベル


  ※ 全県模試受験者で横浜サイエンスフロンティア高校に合格した生徒の偏差値だけで判断すると、初年度のレベルは、翠嵐・柏陽・湘南には及ばず、川和・緑ヶ丘・横須賀・平塚江南・小田原・厚木(これらの学校にも多少の差があります)の少し下、希望が丘・光陵と同レベル、多摩より少し上と推定されるようです。


ただ、YSFHには
早慶・学附の合格を蹴って入学した生徒や難関私立中横浜国大附からの生徒もかなりいるようで、他校同様に、ある程度の学力の幅はありそうです。また競争率については、YSFHは科学全般の教育を通じて学力だけでなく人間的にも優れた人材を育てるという理念があるので、それらに共感する生徒や父兄が増えると来年は今年以上の倍率になることも予想されます。





2009年9月30日(水) 横浜市立学校総合文化祭

神奈川県立・青少年センターホール



 学院の「環境問題を考えるシリーズ」の課外授業で、鶴見川・多摩川の水質検査、横浜第2下水処理場・西谷浄水場の見学、貝による水質浄化等の実験観察をまとめたS君のレポートが「横浜市立学校総合文化祭」(日本学生科学賞・神奈川県作品展 横浜地区予選会も兼ねる)に学校推薦で出品されることになりました。



                                          
作品の一部

神奈川青少年センター多目的ホール デジカメの動画機能を使って、液滴による
液柱生成の様子を解明した力作レポート
2枚目以降には水深や水中障害物・水底
の傾斜によって、生成の違いに影響が出る
ことを写真つきの文章で詳しく解説してある
紙飛行機の翼模型をいろいろなパターンで
作って、揚力の働きを調べた実験レポート
土の中にどのような生き物がいるのかを探り
判定表により、土の自然性の度合いを調べた






横浜サイエンスフロンティア高校 文化祭

2009年 9月26日(土)


正門前 珍しい生物がたくさんいます。
すぐ隠れてしまうクマノミ 忘れた頃に出てきます。
実験の成果が展示されています。 酢で、殻を溶かして作ります。
どんな味がするのでしょうか? パスカルの三角形
結果は? 電子顕微鏡の部屋です。
蚊の口 葉の裏側にある「気孔」
走査型電子顕微鏡(約30万倍まで見えます) アリの顔
H君が作った目覚まし時計・携帯充電器など 力作!出力13万5000ボルトの変圧器
化学屋・N君のデモ実験と解説 これもN君自作の「プラズマボール」
ここは生物分野 DNAのらせんモデルが紙で作ってあります。
バナナからDNAを取り出す実験 自作のプラネタリウムが好評(整理券必要)
本格的な茶道を教えてくれます。 生徒の作品が多数、展示されています。
校歌です。(オオゼキ・タク さん作詞) YSFH・科学技術顧問企業のフロアー
小型風力発電装置 食堂
どなたでも利用できます。 文化祭特別メニューのラーメン




2009年 9月5日(土) 横浜サイエンスフロンティア高校 オープンスクール


将来受験予定の小学生 課題研究室に入ります。 微生物の観察です。
火成岩の結晶構造の観察 数学の授業 生物の授業
英語の授業 ラウンジに並べられているPC カフェテリアで一息


  1校時目の生物は「チャレンジ生物オリンピック」受験を目指すための授業でした。レベルの高い内容でした。2校時目の化学は、K先生が「有機化合物の構造」をユーモアを交えながらわかりやすく解説されていました。

ところで、1校時の数学の授業の中で、私立中学入試に出てくるような問題があったので挑戦されてみてはいかがでしょうか。いっしょに聞いていた小6生は、ヒントを出したら途中からわかりました。


問題



      47
2003の1の位の数字を求めなさい。



                  小学生の皆さんへ

472003   とは、47の2003乗(じょう)と呼んで、47を2003回かけたものという意味です。

47×47×47×47×47×・・・・・これを2003回繰り返します。




解答・解説


                  答えは、です。

いわゆる規則性の問題です。

47の1の位はです。2回目は47×47ですが1の位だけ注目していきます。
すると、2回目の1の位は7×7=49で、になります。

同じように3回目も1の位だけを計算すると、9×7=63で、になります。
3回目が3なので、4回目の1の位は3×7=21で、です。

そして、5回目は、1×7=7で、7になり前のパターンに戻ります。6回目は9、 7回目は3、 8回目は1です。

その結果、1の位だけ見ると、7931  7931  7931・・・・ が繰り返されることになります。

4つの数字でワンセットになっているので、2003を4で割ると、2003÷4=500あまり3になります。500セットのあと、501セット目(2001回〜2004回)の1の位も、7931になります。

よって、2001回目は7、2002回目は9となるので、2003回目は、3になります








7月25日(土) 横浜サイエンスフロンティア高校 説明会






@ 横浜市大名誉教授 小島謙一 先生 (YSFH常任科学技術顧問)



  国際的な科学界の中で、最近日本の位置が、他国(特に中国)に比べて少し劣勢にあるということを資料を使って説明していただきました。これからの皆さんに期待しているということです。

また、横浜サイエンスフロンティア高校が非常に恵まれた環境にあるということ(日本最高峰の科学者から指導を受けることができ、直接話ができる)・世界で一番権威のある科学雑誌「NATURE」が、アメリカの科学専門の高校を差し置いて、日本の新設高校のことを紹介するのは非常に稀であり(世界で初)、大学関係者の間でも大きな驚きであったこと等をお話されました。




A 東京大学名誉教授   和田 昭充 先生 (YSFHスーパーアドバイザー)



  先生は、今回の日食の観測に「硫黄島」まで行かれており、船の状況で今日の説明会の出席が微妙な状態でしたが何とか間に合われたようです。

その硫黄島での体験で、そこにいた人たちが「自然に対する好奇心」が非常に高かったことに感動されたそうです。





                   和田先生のお話の要約

毎週1回、20名ずつの生徒達と、リバービューラウンジで「和田サロン」を開催している。紅茶・コーヒーを飲みながら、スコーンを食べながら、サイエンス談義をしています。

初めにいつも言うのは、「これは授業ではありません。皆さんが獲得した知識はそれだけでは役に立ちません。その知識をつなぎあわさなければいけません。それをつなぎ合わせることができるのは智恵です。これがものを考える基礎になります。」

ニュートンは、リンゴが落ちるのを見たときに、「なぜ月は落ちてこないのか」と思いました。これを明らかにするために「万有引力の法則」を生み出しました。これが智恵です。

「知識と智恵のサイクル」を循環させると、勉強が楽しくなり、あっという間に時間も過ぎていきます。「ものの考え方の基礎」を和田サロンでは教えています。





B 佐藤校長のお話(概略)



勉強に進めていく過程で、困難な場面に遭遇することが何度もあるかもしれません。

しかし、将来、はばたくために強い意志を持って臨んでもらいたい。必ず局面を打開する時が来ます。



                                          
本日の模様                  

横浜市大名誉教授 小島 謙一先生 東京大学名誉教授  和田 昭充先生
硫黄島での日食写真 佐藤校長
植草先生
栗原副校長 これから見学会です
コンピューター室 プレゼンテーションルーム
有害なガスを吸引する装置です
いろいろな実験器具が並んでいます
廊下にシャワー? ES (Emergency Shower)
カフェテリアで休憩 終了後、自転車で対岸まで行ってみました
町内会の催し物です 対岸からのサイエンスフロンティア高校











   

平成20年度 前期選抜 自己表現活動問題
(平成21年 1月27日)






     
                     次の [資料1] から [資料4] をもとに[1] [2]を完成させなさい。

                 
                   (検査時間60分)

                   [資料1]

 今から2000年ほど前に約3億人であった世界の人口はゆっくり増加して、1800年に10億人に達した。その後の世界は急速な人口増加の時代に入り、現在は約66億人である。そして農業の発達による食料の大幅な増産がこのような人口増加を支えてきた。


特に1961年から2003年までの約40年間は、農耕地の面積の増加はわずかであったが単位面積あたりの収穫量が2倍以上増加したために、穀物の生産量が人口の増加を上回った。


このような収量の増加は1940年代に始まって1960年代に大きな成果を出した「緑の革命」とよばれる農業改革、すなわち作物の品種改良、化学肥料と農薬の使用、灌漑(かんがい)設備の整備、農業機械の利用などによるものである。


 現在、世界の66億人の人口を支えているのは世界の44億トンの農業生産であり、そのうち米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆の5種類の主要作物の合計が20億トンである。世界の人口は今後も増え続け、国連は2030年には83億人まで増加し、そのときには27億トンの主要作物が必要になると予測している。


一方、世界の農耕地面積は地球の陸地面積の約12%に当たる15億ヘクタールを維持しているが、1990年以後その面積は横ばいである。今後、農地の面積を増やすためには森林の破壊などの環境問題への配慮が必要である一方、現在の農地が住宅地や工業用地、道路などに転用されてその面積が減少する可能性もある。また単位面積当たりの収量の増加もそろそろ限界に近づいている。

(中略)

 国連農業機関(FAO)の2003年の推計では、世界には食料の不足による栄養障害と体力の低下を起こしている人たちが8億2000万人いる。すなわち世界人口の12%が飢えていることになる。食糧難に悩む人の多くが、サハラ砂漠以南のアフリカに生活している。


国連は世界の食料不足人口を2015年までに半減させることを目指してきた。しかし、FAOは2030年になってもまだ半数以上の4億4000万人が食料不足であろうと予測している。



(科学技術の智プロジェクト「21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト総合白書」2008年より)




                             [資料2]

 




                             [資料3]   [資料4]

 


                           ※ フード・マイレージとは、輸入相手国別の食料輸入量(t)に輸入にかかる輸送距離(km)を
                                 かけ合わせたものの総和で、t・km(トン・キロメートル)で表される。




 問題

 [1] 
与えられた資料(資料1〜4)から読み取れる世界の課題と日本の課題をそれぞれ80字以上
100字以内で書きなさい。

[2]

あなたが国際社会で活躍する科学者またはリーダーであったとしたら
2030年までに[1]の課題
を解決するために、どのような計画を立て、解決策を提示しますか。

具体的な解決策と計画をわかりやすく工夫して書きなさい。なお、計画の説明には図や絵などを

いてもかまいません。


                

  

生徒解答例



         
 
解答概略  (中山学院・前期選抜合格者)

[1]

                       
世界の課題

国や地域によって食料状況の格差が大きく、良い状況の国がそうでない国を援助しきれていない。また、世界の農地面積が人口の増加分に伴う食料を供給するのに充分でなく、将来世界中で食糧難に見舞われ、生き残りをかけて、農地や食料の確保のために衝突が起きたり、戦争に発展する恐れも考えられる。

                   
    日本の課題

1次エネルギー・食料自給率の両方とも低い水準のため、外国からの輸入に頼っている状況にある。よってそれらを輸送するために多大なコスト・資源が使われてしまっている。もし輸入国が日本への輸出量を制限するようなことがあると、自国での確保が困難なため品不足になり価格高騰を招く事態に陥る。




[2]

世界においては、先進国が技術面・人材面・経済面で支援を惜しまず、途上国との格差を減少させる。また、耕地面積の確保のために砂漠の農地化などにも取り組む。

日本においては、伝統的なものを除き、非効率的なものを一部改め、国内で自給可能な新資源の再開発に取り組む。たとえばセルロースの改質で糖類などに変化させる技術の研究・開発によって、耕地面積あたりの農作物収量を増加させるための合理化を図る。




                      

                            塾長の提言 

日本の食料自給率を高めるために
@ 農耕地面積の増加 A 光触媒を利用して農業環境・農業技術を向上させることB 地産地消の促進 C 食育の普及などが必要ではないかと思います。


@については、「現在使用している農地を安易に住宅・工場用地や道路に転用しない」「政府が現在、使われていない土地・工場跡地などを調べ、買い上げ、農地に転換する」などが考えられます。人口の増加で、住宅問題との兼ね合いがありますが、まず耕地面積を増やしていくことが前提条件になります。

また最近の国土調査によると、農地として登録されながら放置されたままで荒廃している田畑もかなりの面積になっているようです。土地所有者と話し合い、計画的に開発していく必要性があります。



Aについては、光触媒が有効です。たとえば工場用地から転用された農地のクリーン度を高めるために、ダイオキシンを除去する光触媒シリカゲルを利用することによって食の安全性が高められます。

また、光触媒は農薬廃液の浄化や、農作物の鮮度保持、養液栽培などにも利用されていますが、充分な資金で耕地面積・研究費を確保した上で、安全で、環境に優しく、
効率のよい農作物栽培が可能になれば少しでも日本の食糧自給率アップに繋がるのではないかと思います。



Bの地産地消とは、「地域で生産されたものをその地域で消費すること」を意味します。日本国内での生産量を増加していけば、外国からの輸入量は減少します。さらに日本国内においても生産地と消費地が近くなればなるほど、国内でのフードマイレージも小さくすることができます。

そのために、政府や自治体が地域の農業従事者に対しての資金援助や最新技術の指導をしていきます。さらに地域生産の野菜・果物を購入した消費者にポイント制などのシステムを作り、そのポイントに応じて税金の軽減や、地産地消の商品を購入できる金券などと交換できるようにします。



Cの食育とは、食の知識やそれを選択する力を獲得し、健康的で安全な食生活を送るための教育のことです。現在の日本の食糧自給率を引き下げている要因として、一つは、昔の日本のような「取れたものを食べる」から、「食べたいものを食べる」という考え方の変化があげられます。

今一つは、消費者がより安価な輸入品を選びがちであるということです。これらを改善するためには、学校での「食育」の授業によって、
「食の安全性や健康」について学び、地域においては「食育」に関する講演や生産者を招いての地場食料品の試食会などのデモンストレーションを行い、生産者と「お互いに顔が見え、話しができる」関係で地域の農産物・食品を購入する機会を提供することが必要なのではないかと考えます。

また、それにより
域の農業と関連産業の活性化が図れると共に、さらには国内全体の需要・供給量の増加が見込めるのではないかと思います。




補足   フードマイレージの項目別内容と環境破壊との関係

高度経済成長期を起点として、日本は豊かな生活に慣れ飽食の時代を迎えているように見えます。しかし、豊かな食卓の裏側では資源・エネルギーの無駄な消費や環境悪化という隠れた現状も存在します。

現在、私達が豊かな食生活ができるようになったのは、さまざまな輸送機関や冷凍設備の発達のおかげです。そして、日本の食品輸入は今なお増え続け、現在では私達が口にする食べ物の約60%が輸入品です。日本の食生活に欠かせない魚介類・大豆・小麦なども輸入の割合は非常に高くなっています。



日本のフードマイレージ(約9000億t・km)の中で項目別の割合を比較したものが次のグラフです。



穀物 油糧種子
植物油原料
野菜・果実 大豆ミール
(飼料)
水産物 畜産物 その他

             「フードマイレージとその環境に及ぼす負荷に関する考察」 農林水産政策研究第5号より







日本の伝統的な食品の、豆腐(大豆)・うどん(小麦)・寿司 てんぷら(魚介類)を初めとして、消費の多いパン、菓子や麺類(小麦)などの生産のほとんどを外国からの輸入に頼っているのが現状です。





                主要輸入品の輸入先 (%) 2008年


品名 1位 2位 3位
小麦 アメリカ(60.6) カナダ(23.7) オーストラリア(15.5)
とうもろこし アメリカ(98.7) アルゼンチン(0.6) インド(0.4)
大豆 アメリカ(72.3) ブラジル(15.2) カナダ(9.3)
果実 フィリピン(23.8) アメリカ(22.7) 中国(16.3)
野菜 中国(46.9) アメリカ(19.5) 韓国(5.9)
魚介類 中国(17.2) アメリカ(10.7) ロシア(9.1)
肉類 アメリカ(24.0) オーストラリア(18.7) ブラジル(12.1)

                                               日本国勢図会 2009年度版より
 







環境とのつながり

上記の食材を輸送しているのは飛行機や船です。しかし飛行機や船はエネルギーを消費し排気ガスを出すので自然環境に負担をかけているといえます。フードマイレージの数字が大きいということは、それだけ大量のエネルギーを使っていることになり、温暖化問題にも直結していることになります。

食生活が豊かになることは大切ですが、普段私達が利用している食料品が環境と常に密接な関係にあるということを十分に認識しておく必要があります。一人ひとりが食べ残しのないように食べ物を大切にし、必要な食品だけを購入するなど、できるだけ
浪費を抑えることを積み重ねていくことが環境を守ることにつながると思います。


※ 中山学院では、自己表現活動模擬試験を同形式で定期的に行っています。試験後、添削指導をします。
※ 模擬面接を複数回実施します。(昨年度の質問例も参考にして指導します。)








                         
                       平成20年         

学校説明会&施設見学会  11月3日(月・祝)


                                                


                  

               概要をご紹介します。


横浜市教育委員会 内田部長の開会挨拶に引き続き、横浜モバイルプラネタリウム代表の遠山御幸氏(YSFH科学技術顧問)から、2009年7月22日に日本のトカラ列島付近で観測できる
皆既日食の解説講演がありました。日本国内では46年ぶりだそうです。 (月食の解説もありました。)

皆既日食が始まると、昼間でも3分ほどで腕時計の文字盤がやっと認識できるほどの暗さになるそうです。お昼がいきなり夕暮れになってしまいます。


                                 
             当日は横浜でも部分日食を見ることが出来ます。YSFHの天体ドームで観測するそうです。




佐藤校長のお話


  次に佐藤春雄校長がYSFHの教育理念についてお話されました。神奈川のトップ校で昨年度、国・公立大学に自校の生徒を30パーセント以上入学させているのは、栄光学園と柏陽高校だけだそうです。

初年度、YSFHは定員237名で、国・公立大に80名以上の合格者を出すことを目標に学校一丸となって、頑張るという内容でした。「受験は個人戦ではなく、団体戦である。」とおっしゃっていました。また数学の正八面体に関する入試問題の解説は面白い内容でした。





入学者選抜について


次は、受験生が一番気になっている「入学者選抜」に関する最新情報です。栗原先生より説明がありました。

         
@ 面接について


  面接官は
二人、試験時間は一人約10分です。

   
 面接に際しての評価対象となる事項

1.科学に対する興味・関心がどの程度あるか。
2.自己の将来への展望と目的意識を持っているか。
3.学習活動に取り組む意欲があるか。


            
A 自己表現活動


サイエンス教育とは科学的思考力を育て、理詰めで合理的に考える力を身につけることを目標としている。そのために次の
5つの観点から評価する。

1.問題点を見つけ、科学に対する興味・関心がある。
2.科学に対する理解力がある。
3.論理的思考によって解決の筋書きを作ることが出来る。
4.思考・判断の独創性によって筋書きを演出することが出来る。
5.表現力によって問題を解決することが出来る。



     

自己表現活動のテスト形式 (制限時間 60分)




   
提示された資料を活用し、複数の課題に対して自分の考えを記述する。

まず、科学に関するテーマの説明文+資料(データ・グラフ等)が載ったA3サイズの用紙1枚が渡される。それを見ながら自由表現する。

[課題1]
問題点を明らかにする。(決められた字数で表現する。)


[課題2]
自分の意見・説明を具体例を挙げながら、読み手にわかりやすく伝えられるように工夫して記す。





募集定員 と 学区外入学許可限度数の説明


最後に植草先生から、スライドを使いながら開校に向けての準備状況・提携校となったバンクーバー(カナダ)にあるセカンダリースクールの紹介・YSFHの募集人員と学区外入学許可限度数についての詳しいお話がありました。詳しい内容はYSFHのHPをご覧下さい。

募集定員 237人 (前期選抜で71人 後期選抜で166人

@ 前期選抜定員 71人のうち、学区外からは、21人が許可限度数)


※ 前期で学区外の生徒が21名に満たない場合は、残った枠は後期にまわす。 
※ 前期71位以内に学区外22番目の生徒が入った場合は、限度数を超えているので、22番目の生徒は、前期では不合格になり、72位以降の学区内の生徒が合格になる。

A 後期選抜定員 166人のうち、学区外からは50人(前期で21人が合格した場合)

※ 前期学区外合格者が21人に満たない場合は、足りない分が50人に付加される。


B 後期選抜の第1次選考の募集定員  133人   (166×0.8=133)
  後期選抜の第2次選考の募集定員   33人   (166−133=33)

 ※ 2次は理科・数学・英語の学力検査の合計点のみによる判定で内申点は考慮しません






概要 : 横浜サイエンスフロンティア高校入学者選抜に関する考え方




@ 通学区域・学区外入学許可限度数について
通学区域は横浜市内全域 学区外限度数は71名
募集定員は、
237名(学区外は71名))

A 募集率・選考基準について
[前期選抜]   募集率  入学定員の30%

選抜の際の比率
1.調査書の学習記録 85% (特に理科・数学・英語の評点を重点化)

  調査書の記載事項 生徒会・部活動・科学に関する研究発表等の顕著な活動の記録
               英検等の資格取得状況により評価

2.「面接」・「作文・自己表現活動のいずれかを実施」   15%
※ 科学に対する興味・関心の高さを中心に評価します。

[後期選抜]   募集率  入学定員の70%
1. 1次選考 (定員の80%まで)

   調査書の学習記録 40% (理科・数学・英語の評点を重点化)
   学力検査の結果   60% (英語・国語・数学・理科・社会)

2. 2次選考 (残り20%)

   学力検査の理科・数学・英語(3教科)の合計得点の順位を活用

 注   平成21年度(一期生)の学力検査は、県共通問題により実施
      平成22年度(二期生)の学力検査からは、一部独自問題を導入する予定







              
 

施設見学会の模様



アリーナ 図書室(本はまだです) 中庭
実験室 テラスより 教室
屋上より 口径300mmの天体望遠鏡 職員室

                           1月6日(火)・7日(水)にも施設見学会があります。詳しくはYSFHのHPをご覧下さい。






  

入学試験 INFORMATION




@ 数学・理科・英語の内申点が、2年で2倍、3年で4倍(他の科目は2倍)されます

学年 国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保体 技家 英語 合計
2年 10 10 10 60
3年 10 10 20 20 10 10 10 10 20 120

2年次・3年次ともオール5で 180点になります

※ 数学・理科・英語の3教科だけで 内申点の合計は90点になり、全体の半分を占めます。

前期選抜:個人の内申点×80÷180(80点満点に換算
後期選抜:個人の内申点×40÷180(
40点満点に換算


A 記載事項の活用(内申に加点されます)

各事項 得点
生徒会本部役員または部活動の部長(重複なし 1点
資格取得状況・実用英語検定3級以上 1点
特記事項の欄に記載がある者 1点
科学に関する研究発表等の顕著な成果(県以上の大会での入賞 2点


B 面接の結果の扱いについて

観点 得点
科学に対する「興味・関心」
自己の将来への展望と目的意識
学習活動に取り組む意欲
5点満点


C 自己表現活動の結果の扱いについて

内容 得点
説明文を読み、提示された資料を活用し、与えられた
課題に対しての自分の考えを記述する。
10点満点


前期選抜:
 全受験生の@〜Cまでの合計点(100点満点)を高い順に並べ、高得点の受験生から前期選抜の募集人数に達するまでを合格とする。

後期選抜: 学力検査/国・社・数・理・英(各50点)の合計得点×60÷250(60点満点
       内申点/前述@の40点満点  ※ 学力検査+内申点=100点満点

1次選考:
 合計100点満点で上位者から後期選抜の80%までを合格とする。
2次選考:(学力検査だけによる選考) 数学・理科・英語のみの合計得点(各50点・合計150点)の上位者から後期選抜の残りの定員20%に達するまでを合格とする。

 詳しくは、「YSFH」ホームページの下記部分をご覧下さい。
平成21年度公立高等学校入学者選抜選考基準を追加しました。 


     







和田先生 (YSFH・スーパーアドバイザー) 講演 (説明会にて) 


 


@ 若い頭脳のあらゆる可能性と新しい航路の発見

 
[基本的な考え]
 高校レベルで真理探求の雰囲気を作る
 「サイエンス」を冠した高校を創る先駆け
 日本学術会議「科学技術の智」委員会の構想の実践
 サイエンス都市横浜のシンボルとしたい
 生徒達との議論を楽しみたい


A 伝統校「横浜サイエンスフロンティア高校」と ”和田サロン”

YSFHの校舎は新設だが、中身は東京大学理学部の理念を受け継ぐ立派な伝統校である。
”和田サロン”を創設し、校内のカフェテリアでコーヒーを飲んだり、クッキーを食べながら、高校生の皆さんと話がしたい。
「生命とは何か?」 「福祉について」 「日食現象について」・・など





        
[東京大学理学部の理念]について思うこと (塾長:別記)

東京大学理学部教授であった竹内 均(たけうち ひとし)先生の著書「人生を最高に生きる私の方法」(三笠書房)に、YSFHの理念と同じことが記されていますので、紹介いたします。

「私は本当に頭が良いというべき人は、「独創力」に富んだ人のことをいうのではないかと思っている。独創性というのは、与えられたものをこなす能力ではなく、自分の頭で考えながら自分の力で実践していく能力だということができる。」

竹内先生は東大名誉教授で専門は「地球物理学」です。4年前に83歳で永眠されましたが、それまで日本での科学普及において、すばらしい業績を残された方です。

先生は、学生達に科学を最も解りやすく教えることのできる、科学のプロフェショナルであられたと思います。私自身にとっても学生時代、NHKの高校講座「科学と人間」(今の理科総合の前身)は、見てて面白く、よく理解することができる番組でした。毎週見るのが楽しみな番組のひとつでした。物理や地学の講義でも難しい言葉や公式はあまり出てこなかったような気がします。

ふちの厚い、べっ甲めがね(初めの頃は普通の眼鏡だったように記憶しています)をかけて、ゆっくり、時々少し裏返った高い声でお話される姿は今でもはっきりと脳裏に焼きついています。

また科学雑誌「ニュートン」を創刊されたのも竹内先生です。カラー写真やカラーのわかりやすい図が豊富で、今までの科学雑誌とは全く違う、楽しく読めて興味が自然に湧き出てくる雑誌を編集されました。「ニュートン」の誕生は、確実に科学普及の貢献の一つになったと思います。今では学生に限らず多くの人に読まれています。

以上の点から考えると、横浜サイエンスフロンティア高校の源流が、竹内先生の理念にあるような気がします。その伝統は、同じ東京大学名誉教授の和田先生を初めとするスーパーアドバイザーの方たちや「サイエンスリテラシー」等の授業によって更に大きな流れとなって広がっていくのではないでしょうか。





B 生徒の皆さんへ 「勉強とは何か」

知識を自分のものにすると課題が判るようになる。さらに経験していないことを「先読み・予測」できるようになる。しかし丸暗記はダメ。

「先読みのコツ」は、物事の法則・仕組み・傾向(クセ)を見つけること。サイエンスとは理詰めで合理的に考えること。探求力→創造力→演出力→自立の過程は、人生のいろいろな問題を解決する基本メニュー。それに心が加われば、”鬼に金棒”

原因が結果を生み、結果が原因を作るという因果の糸(法則)をつなげ、ネットを張り巡らすことが必要。「知のらせん階段」 知る→解る→作るの険しい道のりの後には、すばらしい楽園が待っている。
 








                  
  

佐藤 春夫 校長  (神奈川新聞・インタビューより)



  さて、先週21日(月)の神奈川新聞で、来春開校する「横浜サイエンスフロンティア高校」の初代校長として腕を振るわれる 佐藤春夫(現・開設準備室長)先生のインタビュー記事が載っていました。



佐藤先生は当時、学区4、5番手だった
「柏陽高校」を公立トップ高校まで押し上げた凄腕の指導者です。さらにその指導を受け継いだ「柏陽」は今年の国・公立大学の合格者総数で、「横浜翠嵐」を抜きました。

その佐藤先生の記事の中で、印象に残ったお言葉がありましたので神奈川新聞より引用させていただきます。

@ YSFHの校長就任を承諾された心境について
「自分に与えられた1回しかないビッグチャンスだと思う。教師冥利に尽きるし、断る理由はなかった。多額の予算と市を挙げたビッグプロジェクト。全国に先駆ける以上、注目される学校にしたい。その分、プレッシャーは大きいが」


A 教師の役割や、教育について

「教育とは、画一的ではなくその子に合った教え方があるはず。勉強しない生徒が悪いという態度を取りがちだが、原因のどこかに教師の影がある。よい結果が出る指導法が必ずある。
教育はやり直しがきかないから責任は大きい」


B 卒業後の進路目標について
国・公立大へ80人、難関私大へ80人を想定している。これは保護者への公約だと考えている。ただし進学の先に大人になった時、社会にどれだけ還元できるかを考えている。
保護者の協力は欠かせない。学校と親と生徒が一体となる校風をつくりたい。」


C 受験生へのメッセージ
理念を理解して、是非この学校に入りたいと熱望する生徒に来てもらいたい。多少学力が低くても、意欲があれば伸ばせるだけの力を付ける自信はある。」







サイエンス万華鏡(まんげきょう)  神奈川新聞連載シリーズより



 ※ 神奈川新聞・同ページの、和田 昭允(わだ あきよし)先生が毎週月曜日に連載されている「サイエンス万華鏡」Lも、とても興味深い記事でした。
こちらも同新聞より少し引用させていただきます。

「森羅万象に美しさを発見し、ロマンに浸るのもサイエンスの楽しみです。
サイエンスが描く自然は、うわべを飾る形容詞で厚化粧する前の素顔だからこそ ”本物の美しさ”がある、と私は主張します。

科学者も人間ですから、自然美を楽しむことに変わりありません。ただ、科学者といわれる人たちは、そうしている間になんだか物足りなくなり、ふっと心細くなります。

花や月その他いっさいの具象世界は、あまりにとりとめどころがなく頼りない。それをただ無邪気に楽しんでいてよいのだろうか、と不安になるのです。

このような時に拠り所となるのが、厳然として確立されつつあるサイエンスの学問体系です。それを知る多くの人には、一見無味乾燥なように見える抽象的な描写の中に、花鳥風月の美しさと少し種類のちがった、もう少し歯ごたえのある美しさを見て取ることができます。

簡単明瞭で嘘偽りのない描写が持つ純粋な麗しさです。
この”本物”を楽しむことは芸術鑑賞と同じで、大学者でなくても要領さえわかれば、難しいことではありません。」

          

和田 昭允 先生

専門は、生物物理学。理学博士・東京大学名誉教授・理化学研究所顧問
はまぎん こども宇宙科学館館長・日本学術会議連携会員
横浜サイエンスフロンティア高等学校 スーパー・アドバイザー 







 和田先生の記事を読むと「科学の中に本物のロマンがある」ということが納得できるような気がします。
「紀 貫之」らの平安時代の歌人達も、当時サイエンスのことを知っていたら、また違った短歌が創作できていたかもしれません
ね。 

 
塾長が思う生命のロマン @  (Newton別冊・生命の万能素材から)

食物として食べるタンパク質も、私たちの体を構成しているタンパク質も、すべてアミノ酸が鎖状につながったものです。上の写真は20種類あるアミノ酸のうち、「アラニン」というアミノ酸の構造図です。水色の球体は水素(H)、赤色が窒素(N)、黄色が酸素(O)、黒っぽく見えるのが炭素(C)です。

そして、左下の窒素に三つの水素がついた部分を「アミノ基」、右下の炭素に二つの酸素がついた部分を「カルボキシル基」といいます。これらのアミノ基とカルボキシル基は、すべてのアミノ酸にそなわっています。

中央上部の炭素に三つの水素がついた部分は「R基」と呼ばれています。R基は20種類のアミノ酸すべてで異なり、このR基がそれぞれのアミノ酸の性質を決めています。

アミノ酸どうしが結びつくときは、アミノ基とカルボキシル基でつながります。20種類のアミノ酸はどんな順番でもつながることができます。そしてどのようなアミノ酸がどのような順番でつながるかによって、タンパク質の性質が決まっています。

生命を維持していくための基本単位であるアミノ酸は、物質の最小単位・原子のそれぞれの規則正しい配列によって構成されています。そしてDNAの情報によってそれぞれのアミノ酸はさまざまなタンパク質に合成されていきます。

これを眺めているとその幾何学的な構造に”DISCIPLINE(規律)とHARMONY(調和)の美と力強さ”を感じます




 
                  ロマン A(What's DNA?講談社から)
                   
 
皆さん、ご存知の
DNAの二重らせん構造です。細い二本のひもがらせん状に向き合って組み合わさり、飛び出した塩基同士が互いに結合して対になっています。塩基は4種類あって、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)といいます。

対になる組み合わせは、常に
A-TG-Cと決まっていて、二本の鎖の間で塩基対が形成されることによって右巻きの二重らせん構造になっています。


ヒトの場合、一つの核の中にA-T、G-Cの塩基対が32億対あって、これが
23対、46本染色体として存在します。46本を全部つなげると約2mもの長さになります。普段はヒストンなどのタンパク質に巻き取られたり束ねたりして、100分の1mmより小さい核の中にコンパクトに収められています。

そして、このDNAの中でタンパク質のアミノ酸を指定する部分がほどけ、RNAポリメラーゼという大きなタンパク質が結合してその情報をコピーしてメッセンジャーRNA(mRNA)を合成します。RNAポリメラーゼの中では、ほどけたDNAの塩基の並びを頼りに、それとぴったり合う塩基が次々と結合されていきます。

※ RNAではチミン(T)の代わりに
ウラシル(U)という塩基が使われるので、A−Uというペアになります。


これらはDNAからタンパク質が作られる過程の一部分ですが、私達生物の一つひとつの細胞の中で一刻も休むことなく続けられているのです。


季節ごとの花や草木を愛でたり、絵画を鑑賞したり、山頂から雄大な景色を眺めたりするのもすばらしいとは思いますが、それらとはまた異なる
「生命を維持するためのミクロの世界」にも自然界の美しい営み”Order"(秩序)があるのです。




  

平成20年 6月16日 横浜市大・市教育委員会 発表内容



 

横浜サイエンスフロンティア高校に 横浜市大・特別入学枠


横浜市立大学 国際総合科学部 10名程度進学できる特別入学枠を設けることが横浜市立大学と横浜市教育委員会から発表されました。第1期生から適用されます

市大進学希望者を校内で募集し、学習成績・英語力を中心に40名を選考。その中から、リポート提出・横浜市大教員の指導など、7ヶ月間のプログラムを実施して総合評価の高かった生徒から進学できるそうです。

                  詳細は、フロンティア高校のHPをご覧下さい。