物理+化学 おもしろ実験室 |
平成26年 6月 29日(日) 炎色反応 |
(1) しくみ どんな金属も小さな原子がたくさん集まってできています。そして1個の原子には中心に原子核があり、 その周りにいくつかの電子が存在しています。電子は原子核の周りにある、決まったコース(殻)を回 っています。 ところが、金属試料を熱すると、分解されて1個1個ばらばらの原子になります。原子が加熱されると、 内側の殻と、外側の殻では電子が持っているエネルギーが違い、このエネルギーの差が光のエネルギ
※ 2族のベリリウム・マグネシウムはふつう、アルカリ土類金属には含みません。よって、炎色反応は ありません。
(2) 準備するもの 精製水・無水エタノール・スポイト・アルミケース・蒸発皿・チャッカマン・ガスバーナー・バケツ・ぞうきん 食塩・ホウ酸・ミョウバン・カルシウム・炭酸水素ナトリウム・その他 (3) 手順 @ 蒸発皿の上にアルミカップを入れ、その中にそれぞれの薬品を入れ、精製水で溶かす。 A 無水エタノールを少量加え、部屋を暗くしてから、着火して炎の色を観察する。 (そばに水の入ったバケツと濡れぞうきんを用意しておく。) ※ 参考 可視光の波長(単位は、nm[ナノメートル]・10億分の1メートル) 波長の長さとエネルギーの大きさは反比例します。
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平成26年 5月 25日(日) ・ 6月1日(日) 大気圧と表面張力 「逆さコップ」の原理 |
「逆さコップ」の実験は、どこかでご覧になったのではないでしょうか?またご自身で体験 されたことがあるかもしれません。水を入れたコップに板目紙(厚紙)でふたをして、手を 添えて逆さまにして、手を離しても水がこぼれないというものです。 「下からの大気圧で押さえられてこぼれない」という説明だけで理解されている方も多い と思いますが、実はそれだけではないのです。今回はその奥深い原理を学ぶとともに、 その発展型の実験もしてみましょう。 |
用意するもの 硬質のプラスチックコップ、洗面器、試験管(口径の異なるもの数種類)、注水ビン 板目紙(厚さ1mm程度の紙)、ネット(台所用)、ビニールテープ 実験(1) 板目紙にきりで、いろいろな大きさの穴をあけ、それで水を入れたコップにふたを して手を離す。水はこぼれるでしょうか? |
実験前の解説 まず、水を入れたコップに板目紙でふたをして逆さまにしても水がこぼれないのは、ひとつは 大気圧による力です。イタリアのトリチェリーは、大気圧の実験をした科学者としてえ有名です が、水で同じ実験をすると、大気圧は水を10mも持ち上げる力があることがわかります。 コップの下からも大きな力が紙にかかっているのです。 しかし、大気圧だけでは説明できない現象があります。普通はコップの中の水を一杯にして、 中に空気を入れないで実験しますが、たとえば、コップの中の水を半分にしたり、コップの 容積の10分の1以下の水にしてあとは空気が入った状態で逆さまにしても水は流れ落ちず、 紙はコップについたままです。 コップの中の空気はほぼ1気圧で、コップの外の気圧とつりあっています。そして中には水が 入っています。それでも水がこぼれないというのは、これを支えているのは大気圧だけでない ということがわかります。 大気圧の他に何の力がはたらいているのかいうと、それは皆さんも耳にしたことがある水の 表面張力です。水分子の分子間引力により、水を媒介としてコップと紙を引きつける力や、 水と紙の間にもお互いに引きつけ合う力が生じます。 このように固体と固体、また液体と固体(他の組み合わせもあります)の間ではたらく力を界面 張力といい、特に表面積(界面)を小さくするようにはたらく力が液体に作用している場合を、 表面張力とよんでいます。水滴は下図のように半円状態となります。 ※ 界面張力の力は、ファンデルワールス力が強ければ強いほど大きくなります。ファンデル ワールス力とは、電荷をもたない原子・分子間ではたらく凝集力で、原子量や分子量に比例し ます。 さて、実験に入ります。始めの実験は、紙(板目紙)にいろいろな大きさの穴をあけて同様の 実験をします。穴の数も1個から十数個まで試してみました。 |
実験(1) |
5mmの穴をあけて逆さまにしました。 | 落ちません。 |
7mmの穴をあけました。 | 同じく、 落ちません。 |
8mmでやってみました。 | 紙が離れて水がこぼれました。 |
試しに10mmの穴で挑戦しました。 | なんと、こぼれませんでした。 |
穴の周りが湿っているのがわかります。 | 同じ10mm口径の試験管です。 |
水を注入します。 | 入りました。 |
逆さまにして親指で押さえます。 | 指を離しても水が落ちてきません! |
実験結果 @ 穴の口径が4mm〜7mmまでの場合は、水の量に関係なく、紙は落下しなかった。 A 8mmの穴で、3人やってみたが3人とも紙がはずれて、水がこぼれた。 B 4人目が、10mmで試したら、落下しなかった。 C 同じ10mmの試験管で、同様の実験をしてみたところ、逆さにした試験管の口から は、水がこぼれてこなかった。 |
考察 まず、コップにある程度の穴をあけても水はこぼれませんでした。これは表面張力の 力がはたらいていると考えることができます。穴の付近をよく観察してみると、穴の部 分で、空気が入ろうとしているのを防いでいます。水の表面張力が空気の侵入をくい 止めているのです。また、前述したように、水を媒介としてコップと紙を引きつける力( 界面張力)のはたらきもあります。 しかし、穴が大きいと表面張力で耐えることが出来ず、穴から空気が入り、中の水を 押し出そうとして、紙が離れ、水がこぼれます。ですから、紙が落ちないためには、空 気が侵入しないことが条件になります。 穴の口径が8mmで失敗した生徒と10mmでも成功した生徒がいたのは、どうやら、 コップに紙でふたをする時や手を離すときの技術の巧拙の違いによると思われます。 口径10mmの試験管で同様の実験をしたら、水がこぼれなかったので紙でも10m mは耐えられるはずです。 実験後の質疑応答で、「10mmで成功した生徒の手つきを見ていたら、紙から手を 離すときに少し力を加えて押さえるようにしてから、ゆっくり手を離した」という意見が ありました。ほんの少し軽く手で押すことによって、紙の所の大気圧とコップの中の 大気圧の差ができ、下から支える力が強化されたのかもしれませんね。 |
実験2 |
コップにアミをつけました。 | 逆さにすると見えません。マジックで使えそうです。 |
板目紙をのせました。 | 手で押さえて逆さにしました。 |
ゆっくり紙をずらしていくと・・・ | なんと水は落ちてきません。 |
穴の大きさを3mmに広げて同様の 実験をしたら水はこぼれてしまいま した。2mmが限度なのでしょうか? アミの材質やアミを張るときの強さ も関係しているかもしれませんね。 また、時間がある時にいろいろな 条件の下で実験をする予定です。 このあと、元素周期表の詳しい 見方を解説しました。遷移元素の グループの電子の特別な埋まり方 が少し難しかったようです。次は 奇妙なふるまいの説明をします。 |
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ひとつの穴の大きさは2mmでした。 |
この場合も、水の表面張力によって、空気と水の境目の力の関係が保持され、 水はこぼれません。皆さんの家にあるザルでも同様の実験ができます。 |
平成25年 11月 3日(日) イオン化傾向を学ぶ! 「硬貨で発電」 |
まず、イオンについて簡単に説明します。 すべての物質は原子が集まってできています。原子はプラスの電気をもつ原子核と、マイナスの電気をもつ電子でできています。その数は原子によって異なりますが、ふだんはプラスとマイナスが打ち消し合って電気をおびていない中性の状態になっています。 この原子から電子(−)がはなれると、今までつり合っていた状態からマイナスの電気量が減ってプラスの電気をおびます。逆に電子が加わると、マイナスの電気量が増えてマイナスの電気をおびます。この原子がプラスやマイナスの電気を帯びたものをイオンといい、プラスの電気をもったのを陽イオン、マイナスの電気をもったものを陰イオンとよんでいます。
昔から、イオン化傾向の覚え方はいろいろと考えられてきましたが、ちょっとアレンジを加えて面白いフレーズを考えてみました。(オリジナルなのでどこにも載っていないと思います)
1円玉 の原料のアルミニウムは、イオン化傾向が大きいので、食塩水に接触するとマイナスの性質を持つ電子を残して、少しずつ溶けだそうとします。 一方、水は陽イオンの水素イオン(H+)になろうとする性質があります。しかし10円玉 の原料の銅はイオン化傾向が小さいので、銅とアルミニウムの間の食塩水にはアルミニウムから銅にむかって、陽イオンの移動がおこり、銅の表面 には陽イオンが集まって、銅はプラスに帯電します。 そこに、電気の流れる道をつくれば、プラスに帯電した銅からマイナスになっているアルミニウムにむかって電気が流れることになります。(電子はアルミニウムから銅に移動します) このしくみは、200年ほど前にイタリアのボルタという人が発明しました。「電解質の水溶液に銅板と亜鉛板をいれると、その金属がとけ出て、金属板は電気をおび、電気が流れる」これが、電池のもとになったボルタの電池です。 今回の実験では亜鉛のかわりに、もっとイオン化傾向の大きなアルミニウムを使っています。アルミニウムは電子を出し続けているので、電気を流し続けると、1円玉は、ぼろぼろになっていきます。銅は、電子を受け取って流すだけですから、銅はとけません。 |
平成25年 10月20日(日) 温度差発電 |
温度差を利用して電気を生み出します (ゼーベック効果実験) ペルチェ素子の表裏に温度差を与えると電流が発生します |
プロペラモーターを作りました。 | 透明容器に熱湯を入れ、放熱板を入れます。 |
ペルチェ素子を置き、氷をのせます。 | プロペラが勢いよく回転しました。 |
(1) 準備するもの 1.ペルチェ素子 2.放熱板 3.透明容器 4.アルミシャーレ 5.プロペラモーター 6.わに口コード 7.竹串 8.熱湯 9.氷 ペルチェ素子40×40mm 透明容器と放熱板 (2) 実験手順と結果 1.透明容器にお湯を半分ほど注ぎ、放熱板の平らな面が上になるように置きます。 2.放熱板の上にペルチェ素子をのせます。その時にすき間ができないように注意します。竹串のようなもので押さえるとよいでしょう。 3.アルミシャーレの上に大きめの氷を入れ、ペルチェ素子の上に置きます。 4.すると、電流が発生しプロペラが回転を始めます。温度差が激しいほど勢いよく回ります。 (3) 考察 1.ゼーベック効果 ゼーベック効果とは、ある物質の両端に温度差を与えると、その両端間に電位差が生じる効果です。ゼーベック効果はすべての物質で生じますが、物質によって電位差が異なります。特に半導体材料では生じる電位差が大きく、熱電変換デバイス(材料)として盛んに研究が行われています。 ※ ゼーベック効果の逆の現象をペルチェ効果といいます。これは2種類の金属を直列に接合して直流電流を流すと、その接合部分で吸熱と発熱が発生する現象で、これをペルチェ効果とよんでいます。効率よく電気を熱に変換することができます。実際にパソコンのCPUクーラーとして使われています。 今回の実験で使ったペルチェ素子(温度制御を行うことができる半導体素子)は、ペルチェ効果、ゼーベック効果の両方に使えます。ゼーベック素子というのもありますが、ペルチェ素子と比較して、抵抗値や耐久温度などで微妙な差があります。 ゼーベック効果のしくみ 物質を加熱すると、負の電荷をもった電子、または正の電荷をもった正孔が生じます。これをキャリアといいます。他端の冷却されている部分では、キャリアが発生しないので、キャリアの密度のバランスが崩れ、加熱側から冷却側にキャリアが流れます。 加熱した側では、キャリア(電子の場合は負、正孔の場合は正)が流れ出ていったあとは、キャリアと逆の電荷をもつため、加熱側と冷却側の間に電位差が生じます。この状態で両端を導線でつなぎ、負荷を与えることで電力を取り出すことができます。これがゼーベック効果です。 2.ゼーベック効果を使った温度差発電の実用例 ※ 熱海市HPより 平成24年10月5日(金)から、湯前神社境内近くの源泉(安保湯)の湯気と水の温度差を活用した低温度差発電装置を設置しています。発電した電力を湯前神社境内まで約40m送電し、4つのアプリケーションを稼動させています。 低温度差発電装置
温度差を電流に変えるゼーベック効果は、今から190年ほど前にトーマス・ゼーベックによって発見された原理。慶応大学の武藤教授はこの原理を活用して温泉の熱と水との温度差を活用した低温度差発電装置の開発に取り組まれています。
注目すべき点は、この発電装置は熱電素子として発電専用のゼーベック素子を利用し、ヒートパイプを素子に接続して熱伝導体とすることで、熱源の真の温度差が伝わったときの温度差を生むだけではなく、均一に伝えることが可能となっています。
今回の装置は源泉から発生する温泉湯気(約100℃)と水道水(約20℃)との温度差を利用し、温度差を電気に変換するゼーベック素子(熱電素子)で発電しています。装置の構造は、熱電素子であるゼーベック素子(4cm四方)の両側にヒートパイプ各5本を1ユニットとして5連にした装置で約15Wの発電をしています。
テーマ 「温泉の熱を熱電素子を使って電気エネルギーに変換させる」 目的 兵庫県・六甲山(私の田舎)の有馬温泉の活性化 熱海の温泉の実用例を参考に、有馬温泉も温度差発電を使って、経済活性化に利用できるのではないかと考えた。理由は2つある。 1つめは、六甲山には有馬温泉があり、地下には豊富な熱エネルギーが存在し、十分に熱源が確保できるということである。 2つめは、六甲山は冬、非常に気温が下がる。そのため、冬場は水道管の中の水が凍り、スキー場など集客が見込める場所であるのにもかかわらず、限られた場所でしか、水が使用できず、十分な給水設備が調わず、冬の観光客が減ってしまう施設があるのが現状だ。 これを解消するために、温度差発電を利用することを思いついた。それは温度差発電で発生した電気を水道管を温めるヒーターに使えないかと考えからだ。 しかし、これには1つの課題がある。それは、有馬温泉の温泉水は塩分濃度が非常に高いということだ。塩分濃度が高いと熱をつたえる管の腐食が早く、メンテナンスや部品交換などで、コスト高となってしまう。 そこで、慶応大学の武藤教授が改良したように、管を直接温泉水には入れず、ヒートパイプを使い、温泉の蒸気にあてることにすれば腐食という問題は解決できる。なぜなら、塩の沸点は水よりもはるかに高いからだ。 また、六甲山の地面は冬場は凍っていて、地表面と、地下のマグマによる高温によって、温度差は十分に確保できると考えられる。 このようにすれば、水が凍らずに十分供給できるようになり、飲食・レジャーなどに利用でき、冬でも観光客を集められようになり、より地域が活性化できるのではないかと思う。 施設の利用拡大化 ↑ 水道管の凍結防止 ↑ 地下水を温める ヒートパイプ ゼーベック素子 温泉水の熱蒸気(塩分はない) マグマ |
平成25年 10月13日(日) 空中浮遊 |
電磁石の入ったベースに、地球(中に磁石が入っています)を浮かせます。 |
浮くポイントをさがしています。 | 磁力と重力の微妙なバランスです。 |
ライトアップもできます。 | 磁石だけ取り出してみました。 |
ゆっくり回転します。 | こんにちは! |
浮かせるプラスチックの地球の中には永久磁石(ネオジム?)が入っています。また、アダプター と接続してある下のステージの中には、4つの小さな電磁石と、制御回路が組み込まれています。 物体を浮かせ、乗せたものがステージの外に飛び出してしまうのを防いでいます。また、電磁石 の力を微細に変化させることで、自転を誘発しています。(ゆっくり回転します)
ステージ平面図 磁界 電磁石 センサー 電磁石 ステージ側面図 |
平成24年 9月23日(日) ゴムの伸縮実験 |
ゴムを温めると伸びる?縮まる?という実験です。 | 温める前です。 |
ガスバーナーで温めてみました。 | 5mmほど縮まりました。 |
ゴムの原料である天然ゴムは長い鎖のような高分子でできています。ゴムの分子はこの長い鎖が細長い糸くずのようにからみあった状態になっています。 輪ゴムに熱を加えると分子が動いてこの糸くず状態のすき間を埋めるように小さくなろうとしてゴムは縮まります。 実験をする前に、1.伸びる 2.縮む 3.変わらないの三択で問題を出したところ、正解率は25%でした。 |
平成24年 7月15日(日) アルコールロケット |
人工光合成によって水素からアルコールができるという授業の後、みんなでアルコールを燃料にした紙コップロケットを作りました。 |
JAXAからいただいた尾翼 | 切り取ります。 |
折り曲げます。 | 紙コップにつけます。 |
完成です。 | エタノールを噴霧します。 |
かぶせます。 | チャッカマンで発射! |
まず、空き缶の底から2cmの位置に、きりで直径4mm程度の穴を開けます。 次に飲み口から空き缶の中に霧吹きでエタノールを2〜3回噴射します。そしてすばやく紙コップ をかぶせます。 上から紙コップでふさいだことによって、紙コップと空き缶の中は薄いエタノールの蒸気で満たさ れました。そして、きりで穴を開けた場所に点火したチャッカマンを近づけます。着火することで、 エタノールは爆発燃焼し、体積が一気に増加します。 この時に生じる力によって、紙コップは勢いよく天井に打ち上げられます。※ 実験する時には、 天井の照明にあたらないように気をつけて下さい。また発射直後の空き缶は熱くなっているので すぐ触らないように・・ また安全のために濡れ雑巾を用意しておきましょう。 |
平成24年 3月4日(日) ドライアイスの煙をたくさん出す方法は? |
問題 |
コップの中に水を入れて、その中にドライアイスを入れると始めは白い 煙が出てきますが、しばらくするとドライアイスは残っているのに煙が出 なくなってしまいます。どのようにしたら再び煙が出てくるでしょうか。 水に溶ける様子を観察して述べなさい。ただしその理由も書きなさい。 |
今回は記述式にしました。
まず、ドライアイスを水に溶かしてみます。
コップにドライアイスを入れます。 | 水を注ぎます。 |
煙が出てきました。 | 中のドライアイスをよく見てみましょう。 |
その前にドライアイスから出てくる白い煙は一体何でしょうか?ドライアイスは二酸化炭素を固めたものだから・・・二酸化炭素!と言いたくなりますが、残念ながらそれは違います。確か二酸化炭素は無色・無臭で目に見えなかったはずですよね。 実はこれは、気化した二酸化炭素に冷やされた空気中の水分なのです。水の小さな粒が煙となって見えていのです。雲と同じような状態と考えて下さい。 |
答えの実験をしてみましょう!
先ほどのコップに中にお湯を入れます。 | ドライアイスが再び溶け始めました。 |
コップいっぱいになりました。 | 今度は始めにお湯を入れておきます。 |
ドライアイスを入れた瞬間です。 | 火山の噴火のように噴き出しています。 |
煙を使った空気砲の実験です。 | 火が消えました。 |
煙をためて空気砲の実験を追加しようとしましたが、ドライアイスが小さくなり、煙が出ませんでした。 空気だけで実験しましたが、うまく、ろうそくの火が消えました。次回に持ち越しにします。 |
水の場合、すぐ煙が出なくなるのは、ドライアイスの表面に氷ができてしまい、ドライアイスを覆って しまうのが原因です。写真を見ると氷ができているのが分かります。これが解答の手がかりになり ます。 お湯をいれた後、煙が出始めるのはお湯で表面の氷が溶けたからです。ですから氷を溶かすよう な方法を書きます。他にもどんな方法があるか考えて見ましょう。 写真のように始めからお湯を入れると水よりもたくさん煙が出て、しかも長続きします。これは映画 の撮影効果にも使われています。 |
平成24年 2月19日(日) 1滴の水の中に水分子(H2O)はいくつある? |
問題 |
注射器から1滴の水を垂らします。 さてその中には水の分子はいくつぐらい入っているでしょうか? @ 地球の人口(約70億)の十分の一 A 人口と同じくらい B 人口よりも多い |
実験してみましょう!
紙コップ・注射器・はかり | コップを乗せて目盛りを0にしました。 |
水を吸い上げています。 | 一滴ずつ垂らしていきます。 |
コップに溜めていきます。 | 100滴めです。 |
重さを量ります。 | 7.5g ありました。 |
さあ、計算してみましょう。
水は化学式でH20と表され、酸素原子と水素原子が2個結びついて、水分子1個ができています。 原子1個はとても軽いので、一つの原子を6.02×1023個集めた時の重さで考えます。 6.02×1023個集めた時の各原子の重さを原子量と呼び、6.02×1023という数をアボガドロ数 といいます。そして6.02×1023個の同一粒子の集団を1モル(mol)という単位で表します。 そして水素の原子量は※1.008、酸素は16.00なので、水分子1個は、1.008×2+16.00 =約18.02となります。言い換えれば18.02gの水の中には、6.02×1023個の水分子が含 まれていることになります。 6.02×1023個がどのくらいの数かと言うと、例えば小さな砂の一粒が6.02×1023個集まると 富士山30個分ぐらいの大きさになります。ちょっと想像がつきにくい数字ですね。 ※ モルの語源は、ラテン語のmolesからきていて、「ひと山」とか「ひとかたまり」という意味です。 実験では注射器の先から一滴ずつ水を紙コップの中に垂らしていきました。そしてちょうど100滴、 垂らした時点で重さを量ったところ、7.5gありました。100滴で7.5gなので1滴の重さは7.5g÷ 100=0.075gになります。 ここからは小学校で学んだ比の計算を使います。水18gの中には、6.02×1023個の水分子が 含まれていますので、水0.075gの中に何個の水分子があるかをX個とおいて計算してみましょう。 18 : 6.02×1023 = 0.075 : X X = 0.075 × 6.02×1023 ÷ 18 = 2.5×1021個 となりました。 2.5×1021個は、2500000000000000000000個です。(25がい個)
注射器から出る小さな水滴の中にでさえ、これほど多くの水分子が入っていたのです。皆さんの家 の水道の蛇口から出る水一滴はもっと大きいので、これの2倍以上は入っていると思います。 答えはBでしたが、地球の人口とは比較にならないほど多かったのです。注射器の先の小さな水滴 の中には、何と地球の人口の約3000億倍の水分子が入っていたのです。いったい地球の表面の 70%を占める海の中には何個の水分子があるのでしょうか? 気が遠くなりそうな数字ですね・・・
※ 水素の原子量が1.008という説明です。(高校内容なので少し難しいかもしれません) 原子量とは、炭素原子12Cの質量を正確に12とし、これを基準にして、ある原子の質量がいくつの 値になるかという相対的な質量を表した数字です。 自然界に存在する水素のほとんどは、中性子をもたない(陽子と電子が各1ずつ)のですが、中性子 をもつ水素もほんのわずかですが存在します。約2倍の重さになります。重水素という同位体です。 同位体とは陽子の数が等しく、中性子の数が異なる原子です。 元素の原子量は、各同位体の相対質量に存在比(重水素は0.0115%)をかけて計算した平均値 が用いられています。中性子が2個ある3重水素(トリチウム)というのもありますが、これは天然中 には存在しません。これで計算すると水素の原子量は1.008になります。 電子 電子 陽子 陽子・中性子 水素 重水素 同じく酸素の原子量ももう少し詳しくすると、15.9994になります。酸素の安定した同位体は3種類 で、16O、17O、18Oがあります。天然の存在比は16Oが99.762%、17Oが0.037%、18Oが 0.204%になります。その他、※放射性同位体が14種類あり、質量数(陽子+中性子)の範囲は 12〜28です。 ※ 放射性同位体 原子の同位体の中には、原子核が不安定で、原子核が自然に壊れていくものがあります。この時、 原子核からは、α線、β線、γ線などの強いエネルギーをもった放射線が放出されます。このような 性質をもつ同位体を、放射性同位体(ラジオアイソトープ)と呼んでいます。 放射性同位体の中で、前述の3H(トリチウム)は生体内での元素の追跡、14Cは遺跡などの木片 測定(木に含まれる14Cの量で年代がわかります)、60CO(コバルト60)は、ガンの治療などに利用 されています。 |
平成24年 2月5日(日) ネギやキュウリが回る? |
問題 |
長い糸でネギやキュウリを中央で結び、上からつるします。 そこにタオルでこすったアクリルのパイプを近づけます。 野菜はどのように動くでしょうか? @パイプに近づいてくる Aパイプから遠ざかる。 B上下に揺れる。 |
その前に簡単な実験をしましょう!
実験に使うものです。 | アルミホイルを小さくちぎります。 |
そのままではストローにつきませんが・・ | ティッシュペーパーでこするとつきました。 |
静電気が起こるしくみ |
静電気とは2種類の物質をこすり合わせたときに物質が帯びる電気のことをいいます。 物質には、+と−の電気が同じ数だけありますが、摩擦により、−の電気が移動します。 一方は+の電気、他方は−の電気を帯びます。 プラスチックのストローは摩擦によって−の電気を帯び、それがアルミホイルを引き寄せ ました。2種類の物質を摩擦したとき、電子がどのように移動するかは、相対的にどちら の物質が電子を取り込みやすいかで決まります。髪の毛やガラス・羊毛は、+に帯電し やすく、ポリエチレン・セロファン・塩化ビニールなどは、−に帯電しやすくなっています。 |
さて次は、問題にあるネギとキュウリの登場です。
ねぎとキュウリを糸でつるします。そこへタオルでこすったアクリルパイプを近づけます。 |
用意するもの | 中央を糸で結びます。 |
つるします。 | パイプに引き寄せられました。 |
白い方も同じように近づいてきます。 | 今度はキュウリです。 |
引き寄せられます。 | 回転し始めました。 |
正解は@でした。 |
考察 |
ネギやキュウリには水分が多く含まれています。水の分子をよく見てみると、酸素原子は、 電子を引きつける性質が強いので、水素原子の電子は酸素原子のほうに引き寄せられて います。そのため、酸素原子の部分ではマイナスの電荷、水素原子ではプラスの電荷が 強くなります。 実際には水の分子の中では、プラス、マイナスの電荷の分布に偏りができているのです。 このような分子の性質を「極性(きょくせい)がある」といっています。 水の分子にマイナスの電荷(実験のアクリルパイプはマイナスを帯びています)が近づいて くると、プラスの電荷に偏った部分、つまり水素原子の部分が引きつけられます。 また、プラスの電荷をもった物体が近づいてくれば、水の中のマイナスの電荷に偏った部 分、つまり酸素原子の部分が引きつけられます。 このように、水を含んだ物体の外からマイナス、プラスのどちらの電荷が近づいても、水の 分子は引きつけれることになります。ネギやキュウリが回ったのもこの理由からです。 |
H2O |
酸素原子 0(マイナスが強い)
水素原子 H 水素原子 H(プラスが強い)
平成24年 1月29日(日) 携帯カイロはどうして温かくなるの? |
問題 |
カイロを袋から出してよく振ると温かくなるのはなぜでしょうか? @ もともとカイロの中に入っている物質どうしが反応するから A カイロを振ったときの摩擦によって熱が発生するから B カイロの中に入っている物質と空気中の酸素が反応するから |
実験で確かめてみましょう!
ペットボトル・磁石・はさみ・カイロ | 磁石を近づけてみます。 |
カイロがつきました。 | 中の粉をペットボトルに入れます。 |
温かくなってきました。 | よく振って、10分後です。 |
正解はBでした。 ペットボトルのつぶれた分の体積 は空気中の酸素分に対応します。 酸素が鉄粉の中に入ったのです。 このような変化を酸化といいます。 |
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1日経ったらもっとへこんでいました。 |
考察 |
カイロの中身は何なのか?袋の裏側を見るといろいろと書いてあります。 鉄粉・水・活性炭・食塩・バーミキュライト・吸水性樹脂などが入っています。 実験で磁石を近づけるとカイロがつきましたが、それは中の鉄粉が引き寄 せられたからです。 中に入っている鉄粉が、空気中の酸素と触れると、反応が始まり熱を発生 するのです。またカイロを袋から取り出してから振ると温かくなるのは、カイ ロの中に空気中の酸素が入り込んで反応が始まるからです。 袋を開ける前にカイロをいくら振っても、袋の中には酸素がないので、反応 は始まりません。つまり温かくなりません。@、Aが答えでしたら封を切らな くても袋を触れば温かくなっているはずです。 ところで、カイロの中に入っている食塩は何のために入っているのでしょう か?実は、鉄粉と酸素を反応しやすくするために入れられているのです。 このようなはたらきをする物質を触媒(しょくばい)といいます。 ただし、食塩は粒のまま入っているのではなく、水に溶かして活性炭やバー ミキュライト(農業や園芸に使う保水性のある土)・吸水性樹脂にしみこま せてあります。 |
平成23年 12月25日(日) ティーバッグを紅茶の中に入れると? |
問題 |
カップの中に水を入れてその中に紅茶のティーバッグを底に付けないように 浮かんだままにします。さて水の入ったカップの重さは軽くなるでしょうか? 重くなるでしょうか?または変わらないでしょうか? @ 軽くなる A 重くなる B 変わらない |
実験してみましょう!
注水ボトル・カップ・ティーバッグ | カップに水を入れます。 |
重さを量ります。 | 287gありました。 |
ティーバッグを底につかないように入れます。 | 重さを量ります。 |
正解はAでした。 | |
295gありました。 |
考察 |
カップの重さは確かに増していました。どれだけ増したこというと、ティーバッグに はたらく浮力に等しい大きさの重み(力)です。 水が上向きの力をティーバッグに及ぼしているとき、ティーバッグは水に必ず、 大きさが等しい逆向きの力を及ぼしているのです。 これをニュートンの第3法則と呼んでいます。「1つの物体Aが他の物体Bに力を 加えているとき、物体Bは必ず物体Aに、大きさが等しく向きが反対の力を同じ 作用線上で及ぼす」 この法則は中学校では”作用・反作用の法則”という名前 で学習します。これは運動している場合にも成り立ちます。 作用 反作用 ※ 水泳でターンする時に足でプールの壁を蹴ると思いますが、その時、壁もあ なたを押し返してくれているのです。その力で前へ進むことができるのです。 |
平成23年 11月27日(日) 先に消えるのはどっち? |
問題 |
ガラスビンの中で、長いろうそくと短いろうそくが並んでいます。この二本のろうそくに火をつけ、 ビンにふたをすると先に炎が消えるのは、どちらのろうそくでしょうか? @ 長いろうそく A 短いろうそく B 同時に消える。 |
実験してみました。(念のため大きめのぬれ雑巾を近くにおいておきましょう)
チャッカマンで火をつけます。 | 炎をあげて燃えています。 |
すばやくビンにふたをします。 | 長い方が先に消えました。 |
学院での正解率は50%でした。難しいと思いましたが半分の生徒が正解で、びっくりです。
考察 |
火のついたろうそくは酸素を消費し、おもに二酸化炭素を放出しますが、皆さんは小学校で 酸素よりも二酸化炭素の方が重い(密度が高い)ということを学習したと思います。 ですから二酸化炭素がビンの下の方にたまり、短いろうそくの方が先に消えると答える人が 多いと思っていたのですが・・ でも実際は長いろうそくの方が先に消えました。その理由を説明します。 もし放出される二酸化炭素の温度が高くなければ、短い方が先に消えます。しかし実際には ビンの中の二酸化炭素は高温で、同じビンの中の酸素よりも軽い(密度が低い)状態にある のです。 ※ 標準状態(0℃・1気圧)では、酸素の密度は約1.4g/リットル、二酸化炭素の密度は、 約2.0g/リットルです。しかし温度が1℃上昇するごとに約273分の1ずつ体積が増える ため、常温の酸素よりも高温の二酸化炭素の方が軽く(密度が小さく)なり、ビンの上方に たまっていくので上の方にある炎が先に消えてしまうのです。 小学校の実験で、1本のろうそくに火をつけ、それにコップをかぶせると火が消える実験を したと思いますが、これは、酸素が使われると同時に二酸化炭素は上昇し、上にたまって ろうそくに降ってくるような感じなのです。(二酸化炭素は上部でしばらく対流もします) 下から徐々にたまってくるのではないのです。 |
塾長感想 |
この実験は、問題解決能力を育むのに最適な実験だと思います。今回のクイズでは 二酸化炭素は酸素よりも重い(密度が高い)という知識だけでは答えを得ることはでき ませんでした。学力のかなり高い生徒でもA(短い方)と答えてしまいました。 でも大切なのはその後です。なぜ長いろうそくの方が先に消えるのだろうと疑問を解決 していく探求さを会得して欲しいのです。学習の結果得られる知識の量は ある程度、 決まっています。しかしここでは自然現象から疑問・問題を発見する力や、その疑問を 解決していく上で、科学的な見方や考え方ができる能力が必要となってきます。 中学1年生でいろいろと考えた末、「水蒸気が上昇して炎を消す」と答えた生徒が一人 いましたが、これも天気の上昇気流から思いついたユニークな答えです。 「自分で実験や観察を行い、自分の力で考え、自分の力で問題を解決できた」という 喜び(楽しさ)を是非味わってください。このような主体的な学習方法は理系・文系に 関係なく、きっとあなたの未来に役立つはずです。 |
12月16日(金)神奈川新聞”照明灯”より
小紙14日付の「ヒッグス粒子発見か」の記事を読みながら、「百パー」などと言っているわが身が情けなくなった。日本も参加している国際研究チームは、ものが持つ質量の起源とされるヒッグス粒子の発見に近づいたと発表した。存在する確からしさは98・9%という “百パー人間”から見れば「発見した」でいいじゃないかと思う。しかし、宣言できるのは99・9999%以上だ。実験データをさらに蓄積し、来年の最終報告を目指す。科学の崇高さのようなものを感じざるを得ない 理学博士・茂木健一郎、サイエンス作家・竹内薫の両氏は、対談集「3・11以後」(中公選書)で、東京電力福島第1原発事故に対する日本人の態度について語り合っている。茂木さんは知性や理性で話さず、感情的で一方的な物言いをする人が増えたと指摘。竹内さんは科学主義の根幹である「決めつけない」「事実を重んじる」ことが議論の上で重要だと主張する 感情論に流れることなく将来のエネルギー問題を考えたいと思っても、科学的な思考が苦手な人が多い。わが国の科学教育の貧困さが批判されるが、そのツケが回ってきている。 |
※ヒッグス粒子については”塾長の推薦図書” No.5「天体」に解説してあります。
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平成23年 10月16日 講義 : 地熱発電の現状 工作 : DNAのしくみ |
10月16日(日)のフロンティアクラスは「地熱発電とは」というテーマで各自、そのしくみ・特徴・世界の現状・日本での取り組み等をレポートにまとめました。神奈川県は箱根・湯本など温泉施設が多数あるので、温泉発電を含むバイナリー発電(地下からの蒸気を使わずに気化しやすい液体を沸騰させてタービンを回す)などが期待されるところです。 そのあとDNAの大きな2つの働きである「複製」と「タンパク質の生成」について複製モデルを使って解説しました。 |
ファスナーを使ってDNA複製モデルを作ってみました。複製される前に、DNAの二重らせんはDNAへリカーゼ(青色の輪)というらせんをほどくタンパク質によって一本鎖になります。 |
そしてへリカーゼによって開かれた塩基配列にプライマーゼという酵素によりRNAプライマー(小さい青色の輪)が付けられ、そのプライマーがDNAを合成するDNAポリマレーゼ(片方の塩基配列を元に新しい鎖を合成する酵素・黄色の輪)を呼び込みます。 二本に分けられた上の鎖(リーディング鎖といいます)についてはDNAポリマレーゼの合成方向と、らせんがほどける方向が一致しているのでへリカーゼ(青の輪)を追いかけるようにスムーズにDNA(赤)合成が進みます。 しかし、下の鎖(ラギング鎖といいます)は塩基がつながっている向きが上の鎖と逆になっているのでβ(ベータ)クランプという環状のたんぱく質(銀の輪)が付き、鋳型DNAを上の鎖と同じ向きになるように引き込みます。 |
すると下の鎖がループ状になり、取り込まれる際にDNA(赤)が合成されます。そしてβクランプがDNAポリマレーゼ(黄色の輪)から離れ上の鎖と同じ方向に送り出されます。このしくみを解明したのは日本の岡崎令治博士で、博士の功績にちなみラギング鎖の複製で生じる短いDNA(赤)を「岡崎フラグメント」と呼んでいます。フラグメント(fragment)とは断片という意味です。 |
この図でDNAへリカーゼの進行方向に沿ってスムーズに合成が行われる左側の鎖をリーディング鎖、ループを作りながら不連続に合成が進む右側の鎖をラギング鎖といいます。 複製を行う酵素DNAポリマレーゼは5’末端から3’末端の一方向しかDNAの鎖を伸ばすことができません。 リーディング鎖では問題なくDNAを伸長することができますが、ラギング鎖では鋳型DNAをポリマレーゼに引き込み、5’→3’の向きに直し、ループの部分でDNAを合成していきます。 合成が完了した断片のDNAはポリマレーゼから離れ、次の断片の合成に取りかかります。この複数の断片DNAはDNAリガーゼという酵素でつなぎ合わされて1本のDNA鎖になります。 |
小学校6年生のH君が自分で作ったDNAのクラフトを持ってきて見せてくれました。先週のIさん作成のDNAとつなげてみました。 |
お酒が強い・弱いはこのDNAの塩基配列で決まります。お酒を飲むとエタノールがアセトアルデヒドになりますが、これを酸化して酢酸(さくさん)に変え、さらに無害な二酸化炭素と水にしてくれる酵素があります。 その酵素をアルデヒド脱水酵素といいますが、この活性が弱いとアセトアルデヒドがうまく分解されず体内に長い間残り、気分が悪くなったり、大量に飲酒した場合は大変なことになりかねません。 アルデヒド脱水酵素の活性が弱いのは、それをコード(指定)している遺伝子の部分が1箇所だけお酒に強い人と異なっているからなのです。DNA上のアルデヒド脱水酵素をコードする領域には800個以上の塩基が並んでいますが、異なっているのはたった一文字だけです。 ※ 個人によって塩基の配列が異なる箇所をSNP(スニップ)ーSingle Nucleotide Polymorphismーとよんでいます。1つの塩基が変異して多様性をもっている状態で、「一塩基多型」ともいいます。現在わかっているだけでも、ヒトゲノム上のSNPは30億の塩基対の中に1100万カ所以上あり、このうちタンパク質をコードする領域にあるものは65203カ所で、ヒトでは約300カ所に1カ所塩基が置き換わっているところがあります。 左が強い人、右が弱い人のアルデヒド脱水酵素の塩基配列(遺伝暗号)の一部分です。どこが違うでしょうか? |
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答え 左から2列目の上から3段目のグループを見てください。左から4つめが、強い人では"g"で、弱い人では"a"になっています。 塩基が3つ組になってアミノ酸を指定していますが、"gaa"はグルタミン酸を持ってきますが、"aaa"はリシンというアミノ酸を指定してしまい、これによって代謝活性が弱くなってしまうのです。 さてあなたはどちらのタイプでしょうか? |