2012年度サイエンスフロンティアクラス 






            2012年  12月16日(日)・23日(日)

      iPS細胞の完全理解とこれからの臨床応用について


「iPS細胞」 2006年に京都大学の山中伸弥教授は、自ら生み出した細胞に、こう名付け
ました。


「induced Pluripotent Stem cells」 日本語では
「人工多能性幹細胞」とよばれます。
皆さん、ご存じのようにヒトはたったひとつの細胞”受精卵”から始まります。

初め、細胞は分裂してその数を増やすばかりで、成長して大きくなることはありませんが、
ある時期から互いに別の役割を持つようになります。


そして、たくさんの細胞が協力し、一人のヒトになるのです。成人一人あたりの細胞の数は
約60兆個です。

ふつう、細胞たちの役割は、一度決まってしまうとその後は変化しません。これを
「分化
といいます。例えば、皮膚になった細胞はずっと皮膚のままです。こうして、ヒト一人が出
来上がるまでの過程を
「発生」といい、ふつうは後戻りができません。

しかし、遺伝子操作などの人工的な操作によって、iPS細胞は、発生のまだ最初のころの
ように役割分担をする前の状態に戻り、別の役割をもつ細胞に変わることができるのです


皮膚細胞から作ったiPS細胞であっても、上手に育てれば、筋肉や神経といった、以前と
は違う細胞になることができます。

つまり、iPS細胞は新たな運命をたどりなおし、
生まれ変わることができるのです。タイム
マシンで過去に行ったのと同じようなことが実際にできたのです。


  初期のiPS細胞の作り方

山中教授は、奈良先端科学技術大学院大学の助教授(現在の准教授)だった2000年頃から新しい多能性幹細胞の作製方法の研究に取り組んでいました。

数多くの遺伝子の中から、4つの遺伝子、
Oct3/4(オクトスリーフォー) Sox2(ソックスツー)Klf4(ケイエルフォー)c-Myc(シーミック)を見出し、レトロウィルスというウィルスを利用して、マウスの皮膚細胞(線維芽細胞)に導入し、数週間、培養しました。

すると、送り込まれた4つの遺伝子の働きにより、
初期化・リプログラミングが起き、ES細胞に似た、様々な組織や臓器の細胞に分化することができる多能性幹細胞ができました。2006年に世界で初めて報告されたマウスiPS細胞の誕生です。

その後、山中教授のグループでは、工夫を重ねて、同様に上記の4遺伝子を人間の皮膚細に導入してヒトiPS細胞の作製に成功したと2007年11月に発表したのです。



                                          

                                                 NHKラボより




 iPS細胞は、いろいろな人の協力で誕生しました!

iPSを支えた人たちの紹介


iPS細胞の実現には、日本人による三つの技術が欠かせませんでした。

あらゆる細胞に育つ能力をもつiPS細胞。一番の課題は、体の細胞を万能細胞に変える何らかの物質(因子)を探し出し、それを組み込むことでした。

山中教授と共同受賞した英ケンブリッジ大のジョン・ガードン教授は、体細胞を卵子と合体させると万能な初期状態に戻ることをカエルで示しました。だが、しくみは複雑で因子探しはなかなか困難をきわめました。



 ① 京都大学 多田高 準准教授

しかし、ある時、山中教授は、京都大・再生医科学研究所の多田高(たかし)准教授の研究からヒントをつかみました。多田准教授は助手だった2001年、マウスのリンパ球をES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)と電気ショックで融合させると、リンパ球の遺伝子が変化して受精卵のような初期状態になると発表したのです。


ES細胞は受精卵をもとにつくり、やはり万能性があります。iPS細胞の先輩です。多田先生はES細胞に「初期化の種」があると示したのです。体細胞が初期化したかどうかを判断するための「目印」も明らかにしました。

多田先生は1997年に京大に来る前、ガードン教授がいる研究所に留学しています。ES細胞などの能力を手がかりに細胞の初期化をめざしていましたが、同僚から「成功すればノーベル賞ものだけど、ブレッド&バター(生活の糧になる論文が書ける研究)も必要だ」と忠告されたといいます。

その後も多田先生は「種」を探すため、ES細胞でよく働く遺伝子を手作業で調べましたが、数が膨大で、なかなか先へ進むことができませんでした。




   ② 理化学研究所 林崎良英 先生


そんなころ、山中教授は遺伝子データベースに注目しました。2001年2月に理化学研究所オミックス基盤研究領域(横浜市)の領域長・林崎良英先生が、マウスの全遺伝子情報を公開したのです。山中教授はそのデータベースからコンピューターを使ってES細胞で働いている約100個を選び出し、世界の論文も参考にして、20個ほどに絞り込みました。


林崎先生がデータベース作りを任されたのは1995年。直後に米国が「8年以内にヒトの全DNAの解析を終える」と宣言しました。「予算は数十倍。同じことをしても負ける」。情報の質はDNAと同等以上で、世界でも手つかずだった「相補的DNA」に目をつけたのです。


 塾長 注  相補的DNAとは?


mRNA (メッセンジャーRNA:DNAの情報をタンパク質の製造工場で、核の外にあるリボソームまで運ぶRNA)から人工的に作られるDNAを相補的DNA( cDNA:complementary コンプリメンタリーDNA ) と呼んでいます。cDNAは、mRNAの配列を調べられるだけでなく、タンパク質を生産することもできます。

大腸菌に人間のDNA(情報があるもの:エクソン と ないもの:イントロンが混在)を組み込んでも、大腸菌のDNAにはイントロンという余分な部分がなく、全てがエクソン(情報が詰まっている部分)であるため、それを切り取るシステムが存在せず、目的のタンパク質はできません。

しかし、すでにイントロン(情報がない部分)が切り取られた状態であるmRNA(
成熟mRNA)と同じ情報をもつcDNAを大腸菌のDNAに組み込めば、大腸菌は人間のタンパク質を作ることができます。


   

※ スプライシングとはmRNA上から情報をもっていないイントロンを除去して、エクソンだけをつなぎ合わせる加工のことです。スプライシングという言葉は、もともと映像関係の仕事で使われている用語で、映画などを撮り終わったあとフィルムの余分な箇所を切り取って、使用するカットだけをつないでいく作業のことで、それと同様なことが細胞内で行われています。上の図の中の成熟mRNAから人工的に作ったものがcDNA(相補的DNA)です。





cDNAこそが、タンパク質を知るうえで最上の情報源となります。そしてそのcDNAを作るためにはRNAと相補的な配列を並べていくコピー機が必要なのですが、そのコピーの役割をする酵素があります。それを「
逆転写酵素」といいます。


しかしこれは、大きな問題をはらんでいます。それは分子生物学には「
セントラルドグマ」という不動の概念(遺伝情報はDNAからスタートし、RNAに転写されてタンパク質として発現するという絶対的なしくみ)が存在しますが、逆転写酵素は、まさにそれを逆行することになるからです。

セントラルドグマが絶対であるならば、なぜ逆転写酵素が自然界に存在しているのか、その意義がわかりません。地球上のすべての生物がDNAからRNAへと転写をしているのならば、逆転写酵素は必要がないのです。

しかし、逆転写酵素が発見されたことにより、地球上ではRNAからDNAに情報が転写されるという通常とはまったく
反対の現象が存在することを意味します。それまで絶対視されていた「セントラルドグマ」に修正を加えざるを得なくなったのです。

理研の林崎先生は、このcDNAを研究し、マウスがもつmRNAの情報を網羅した「
マウスゲノム百科事典」ともいうべきデータベースを2002年に完成したのです。マウスゲノム百科事典は国際スタンダードなデータベースとして、一般に公開され、生命科学のさまざまな研究に応用されています。

現在でもこのデータベースは5秒に1回のペースで閲覧されており、ノーベル賞を受賞した山中教授の
iPS細胞の作成にも林崎先生が作成したデータベースが基盤となったのです。




遺伝子情報を読み取る強力なシーケンサーを開発し、米国に先んじて2000年、解析の完了を米科学誌サイエンスで発表しました。データは国内で独占する手もありましたが翌年、世界同時に公開しました。山中教授は、数カ月後にアクセスしてきたといいます。


しかし、この段階で、のちに初期化に必要な「山中4因子」と呼ばれるうちの一つ、「Klf4」という遺伝子は入っていませんでした。ES細胞以外でも働いているため、見落とされていたのです。

山中教授が奈良先端大にいた時の研究室の大学院生だった
徳沢佳美さん(現・埼玉医科大特任研究員)が、受精卵がさまざまな細胞に変わる際に欠かせない働きをしていることを見いだし、新たに初期化に必要な遺伝子の候補として加わり、最終的に24個の遺伝子が選ばれたのです。

そして、誰も思いつかなかった試みをした人物がいます。その人物とは、徳沢さんの同級生の高橋和利さん(現・京大講師)です。24個をぜんぶ皮膚の細胞に入れたら、受精卵のようになったのです。そしてその中から初期化に必要な4個の遺伝子を探し出し、iPS細胞を誕生させることに成功しました。」

             
                     
NHKラボより


林崎先生のリストを使って、山中教授のグループは遺伝子を100程度にまで絞り込みました。さらに100の遺伝子の性質をひとつひとつ調べていきました。中には、すでに知られている遺伝子もあったといいます。こうした研究で、細胞の初期化に関わっていそうな遺伝子を24個にまで絞り込みました。

すると、その24個で皮膚の細胞がES細胞のように、どんな細胞にもなれるものに変化しました。
図ー① しかし、24の遺伝子すべてが必要であるわけではないと考えられます。そこで、高橋さんは、24の遺伝子のうち、1つずつ外して23の遺伝子を皮膚の細胞に送り込んで調べてみました。図ー②③

その結果、多くは遺伝子を1つ外しても初期化が起こりましたが、ある遺伝子を外すと、iPS細胞にならないというものがありました。この遺伝子はiPS細胞になるために必要な遺伝子と考えることができます。


そうした遺伝子が4つありました。今度は、その4つの遺伝子だけを皮膚の細胞に入れるとiPS細胞になりました。
図ー④ 4つの遺伝子を入れると設計図の本の、のりづけがはがれて、すべてのページを開けるようになったわけです。あらゆる組織や臓器になる能力を取り戻したのです。(初期化といいます)





私が、受賞後に読んだ本の中で、山中教授が「徳沢さんと高橋君には足を向けて寝ることはできません。」と記述してある箇所があります。このようにたくさんの方の研究・発見があってiPS細胞が誕生したのです。


しかし、以前ならこんな実験はできませんでした。一度にたくさんの遺伝子を送り込む手段がなかったのです。どうして可能になったのでしょうか・・





  東京大学 医科学研究所 北村俊雄 教授


「一度にたくさんの遺伝子を送り込む手段それを開発したのは、東京大学 医科学研究所の北村俊雄教授です。細胞に遺伝子を運ぶ「ベクター」の代表はウイルスで、生きた細胞に感染し、自分が持つ遺伝子を組み込んでいきます。一つのベクターが運ぶ遺伝子は一つなので、複数の遺伝子を組み込むには、たくさんのウイルスが感染できないといけません。

北村教授は留学先の米国の研究所で93~94年、「pMX」という感染効率が非常に高いウイルスをつくるのに成功しました。組み入れた遺伝子が活発に働くよう工夫もしたのです。山中教授からウイルスの提供を求める手紙が届いたのは、2002年6月でした。


その時、北村教授は、24個の遺伝子を一気に入れる発想には驚いたそうです。「ふつうは2、3個。24個は常識はずれ。チャレンジングなことをしたなと思った」といいます。

山中教授のグループはまもなく、本当に必要な四つの遺伝子を突きとめます。いくつものピーが集まって、とうとうiPS細胞の作製というパズルが解かれたのです。


                   





  将来、期待される臨床応用例と研究



        これから、 iPS細胞はどのように利用されていくでしょうか。


病気や事故などで、臓器や組織がうまく働かなくなってしまったときに、その臓器や組織をiPS細胞から作り出して、移植するなどして代わりをさせることができれば、治療することができます。臓器や組織を再生して使うことから
「再生医療」といいます。


iPS細胞の研究は動物実験などの段階です。ただ、ヒトの患者への応用も研究段階ですが進められようとしています。


 網膜の再生


理化学研究所 発生・再生化学総合研究センター

高橋雅代 プロジェクトリーダー


「加齢黄班変性」という網膜の一部が傷ついて、歪んで見えたり視力が低下したりする難病があります。この病気をiPS細胞で治療しようという研究が、高橋雅代さん神戸・理化学研究所)を中心にしたグループによって続けられています。 


              


                     
                   高橋雅代リーダー 理研HPより

再生医療を成功させるためには、基礎側からのアプローチだけではなく、臨床側からのアプローチ、すなわち対象となる疾患の深い理解も重要である。現在我々が 進めている網膜色素変性の遺伝子変異解析や自己免疫の関与について解明せずに細胞移植を行えば、動物実験上は良い結果が得られても、実際の臨床では成功しないという結果に陥る可能性がある。しっかりした基礎と臨床のevidence、両者をふまえた網膜再生研究を行いたい。



ヒトを対象にした臨床研究の申請の手続きが進められ、2012年11月、研究所の倫理委員会が承認しました。今後、厚生労働省などの審査を経て、iPS細胞から移植に使う網膜をつくる作業が、今年、2013年春にもスタートする見通しです。


まだ、「治療」ではなく、安全性などを調べる「臨床研究」、つまり研究段階です。安全性や有効性などが確認されれば、本格的に治療に使われるようになります。治療への応用の道筋は見えてきていますが、実現には、そうしたことを確認する一定の時間がまだ必要です。


動物実験のレベルではありますが、再生医療への応用の可能性はいろいろ研究されています。たとえば、心臓の筋肉「心筋」が十分働かないとき、iPS細胞から薄い膜のような心筋を作ります。心臓の外側にその心筋を張り付けると、もとの心臓の筋肉と同じタイミングで拍動して心臓の筋肉を補うことができるというものです。



他にも、脊髄を損傷したとき、脊髄は再生しないので、半身不随になってしまうケースがあります。iPS細胞を使って損傷した脊髄を再生・修復してくれることが期待できます。







  iPS細胞から筋肉の細胞を作る

  CiRA 櫻井英俊 特定拠点講師


        
      櫻井先生 CiRA HPより

2012年 10月 CiRAの櫻井英俊先生が、アクチビンAというタンパク質を使ってiPS細胞を筋肉の細胞に分化させることに成功しました。

iPS細胞にアクチビンAを混ぜ培養したところ、形が変化していき、1週間後に
沿軸中胚葉という筋肉細胞のもとになるものができたということです。


       

        
 アクチビンA

さらに驚くべきことが起こりました。それは、アクチビンAの
濃度を濃くしてみたところ、今度は肝臓の細胞になったのです。アクチビンAの濃度によってできる細胞が異なるのです。

iPS細胞についたタンパク質は、濃度によって種類のちがう
化学物質を放出します。ある種の化学物質は筋肉の情報を持った遺伝子だけに働き、他を封じ込めてしまうのです。

タンパク質によって分化がコントロールされ、
タンパク質が分化を支配しているのです。








  心臓の細胞への分化に成功

 慶応大学 循環器内科 福田恵一教授


         
      福田恵一教授 慶応大学HPより


福田先生は、マウスの受精卵を使って心筋細胞になる過程においてどんなタンパク質が発現するのかを調べました。すると、7.5日目で、「ノギン」 8日目で「ウィント」 10日目で「GーCSF」というタンパク質が現れ、心臓の細胞ができたということです。

それらを、今度はiPS細胞に順番にふりかけていったところ、同じようにしっかりと脈動をうつ心筋細胞に変化しました。そしてこの細胞をマウスの心臓に注射したところ、定着させることに成功しました。

これは、いろいろな臓器を作ることができるというiPS細胞の実用化に期待を持たせる結果となりました。






    肝臓の細胞への分化に成功

   横浜市立大学 臓器再生医学  谷口英樹教授



谷口教授は、ヒトの肝臓の周りにある、
間葉系細胞と、血管内皮細胞という2種類の細胞をiPS細胞によく混ぜて放置しておきました。すると、ボール状に膨らんでいき、ミニ肝臓ができたのです。

             


谷口教授は、間葉系細胞と血管内皮細胞の細胞どうしが相談して、肝臓をつくるのに適したタンパク質を放出したのではないかと考えています。








     iPS細胞で尿細管作成

 
CiRA(京大iPS細胞研究所) 長沼(おさぬま)健二 准教授チーム



人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、腎臓の「尿細管」を作製したと、京都大iPS細胞研究所の長船健二准教授らのチームが発表した。

腎臓は尿を作り、老廃物の排せつなどを行う臓器。尿細管もその働きの一部を担っている。腎臓の機能が損なわれると、人工透析が必要となる場合もある。

腎臓の細胞のほとんどは「中間中胚葉」と呼ばれる細胞の集まりから変化することが知られている。研究チームは、iPS細胞を効率よく中間中胚葉へと変化させる技術開発に着手。

iPS細胞の変化にかかわる様々な物質の中から、骨の成長を促すたんぱく質など
4種類を加えることで、iPS細胞の90%以上を中間中胚葉に変化させた。マウスの腎臓細胞とともに培養すると、中間中胚葉の一部が管状の組織になり、試薬の反応で尿細管であることを確認した。


                      2013年 1月23日  読売新聞


               
                  
 読売新聞HPより







      iPS細胞でパーキンソン病治療

     CiRA(京大iPS細胞研究所)  高橋淳 教授


          
            CiRA HPより


iPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経の細胞をつくり、パーキンソン病の患者の脳に移植する新しい治療法について、京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授は6日、早ければ来年度にも臨床研究の実施を国に申請する意向を明らかにした。

パーキンソン病は、
神経伝達物質ドーパミンを作る神経細胞が脳内で減り、手足のふるえや運動機能の低下が起きる難病。高橋さんらは、患者の細胞から作ったiPS細胞をドーパミンを作る神経細胞に変化させて脳に移植する。

東京都内で開かれた講演で高橋さんは「プロトコル(研究の計画)はほぼ固まった。今後1~2年かけて有効性、安全性を検証し、臨床研究に進みたい」と話した。



                          2013年 1月23日  朝日新聞










     iPS細胞から造血幹細胞

     東京大学 医科学研究所  中内啓光 教授



                


東京大の中内啓光教授らは、様々な細胞に成長できる人のiPS細胞から、血液のもとになる「造血幹細胞」を作製することに成功した。マウスにこの幹細胞を移植し、血液の病気治療に役立つことも確かめた。ドナー不足が問題になっている骨髄移植に代わる白血病の新たな治療法開発などの足がかりになる。
研究チームはiPS細胞などをマウスに移植するとできるテラトーマ(奇形腫)と呼ぶ細胞の塊に着目。免疫が働かないようにしたマウスに、人から作ったiPS細胞と、細胞増殖を促すたんぱく質などを注射すると、マウス体内にテラトーマができ、造血幹細胞が育った。幹細胞が骨髄に移動し正常に血液を作ることも確認した。

この造血幹細胞を取り出し、放射線を当てて造血幹細胞を壊したマウスに移植すると、3カ月後に造血幹細胞が骨髄に集まり、リンパ球など全ての血液細胞を作っていた。iPS細胞から血液細胞を試験管で作る試みは多いが、きちんと働き移植に使える造血幹細胞を作るのは難しかった。

研究チームによると、今回の手法を人にそのまま応用するのは倫理面などから課題がある。今後、治療に生かす際は、ブタなどで大量に造血幹細胞を作る技術などが必要になる。このため当面は、血液の難病患者などのiPS細胞を使って造血幹細胞を作り、病気の発症の仕組みや治療法研究に役立てる考えだ。


                2013年 5月14日 日本経済新聞



                          

                               
  科学技術振興機構(JST)より

                               






                                      
            2012年 12月12日(水)

      
  藤嶋 昭先生のインタビュー

       応用化学研究室の見学


      
   東京理科大学 神楽坂キャンパス



 
 ホンダ・フジシマ効果についてのお話  これからの若い人たちへのメッセージ
   
 紫外線による水素と酸素の発生  可視光でも気体発生が可能な触媒


  インタビュー内容 概略

    本日はお忙しい中、お時間を割いていただきましてありがとうございました。


近年、地球温暖化問題を解消するためのエネルギーシフトについてさまざまな分野での研究
が盛んですが、その一つとして、「人工光合成」は世界中で大きな注目が集まっています。

まず先生が、世界で初めて、光だけのエネルギーで酸素と水素を発生させた時のしくみと、
その時のお気持ちをお聞きかせいただければと思います。



                      
 藤嶋先生 


「光によって水が分解できる」といういわゆる人工光合成が初めてできたことをお話します。
私が
酸化チタンの単結晶に初めて出会ったのは、東大大学院の修士課程の1年生から2年
生の時で、その時、”中住クリスタル”という神戸の会社が酸化チタンの
「ルチル型」の単結晶
を作っていました。 

そして、中住社長に手紙を書いて、ルチル単結晶を使わせていただきました。そして、一つ
の電極に
酸化チタンを用い、もう一つの電極に白金を使いました。酸化チタン電極と白金電
極をつなぎ、水の中で酸化チタン表面に光を当ててみました。

すると両方の電極の表面からガスが出てきました。酸化チタンの表面からは
酸素が発生し、
白金の表面では
水素が出てたのです。私がこの時、一番嬉しかったのは植物の光合成反応
との類似性に気がついたことです。

植物の光合成では、水を分解して酸素、そして空気中の二酸化炭素を還元して、炭水化物
などを作り、植物が成長しています。この植物がやっている光合成反応を、「酸化チタンと白
金を用いるだけのこんな簡単な方法で真似ることができた。」と気がついた時が私にとって、
一番嬉しかったことでした。 


そして、1972年にその論文が
「Nature」に出ました。この水の光による分解の実験結果を、
当時私の先生であった本多健一先生と連名で発表したのです。今では
「ホンダ・フジシマ
効果
と呼ばれています。







植物の光合成における触媒を担っている葉緑体の役割を、酸化チタンが行っていると理解し
てよろしいでしょうか




                        藤嶋先生 


その通りです。もちろん、植物が行っている光合成反応は、それほど単純ではなく、化学反応
的にはかなり複雑な過程を通して進行していますが、私がしたのは、葉緑素の代わりに酸化
チタンを使うことでした。それまで
酸化チタンは誰も使っていなかったので、それが新しい試
みだったといえます。いずれにしろ、
私は酸化チタン表面から酸素が出ることに非常に感動し
ました
。また、白金の表面では還元反応によって水素がでるわけです。






ところで、先生が発見された酸化チタンを代表とする光触媒は、酸素を発生させる人工光合
成の他に、
現在、消臭・殺菌・汚れ落としなどさまざまな分野で利用されていますが、その例
をいくつか
紹介いただけますでしょうか。




                         藤嶋先生 


わかりました。酸化チタンは現在、いろいろなところで使われています。
空気をきれいにする
ために、酸化チタンを塗ったフィルターを使った空気清浄機が販売されています。タバコの臭
いもとれます。同じようなフィルターを水の中に入れれば環境ホルモンなどの有害な物質除去
でき、
水もきれいにできます。鏡やガラスの上に塗れば曇り止めにもなります。

また、
殺菌効果もありますので、医療関係への応用があります。病院などの医療現場では、
さまざまな治療・検査・手術などが行われますから、極力清潔にしておく必要があります。手術
室などは無菌状態にしていかなければなりません。

そこで手術室の床と壁を光触媒タイルにすると、空中に浮遊する細菌の数を激変させることが
できます。医療器具では、カテーテルなどにコーティングし、
抗菌作用を持たせたものが開発
されています。


そして今、最も利用されているのは、セルフクリーニングです。セルフクリーニングとは、自然
にきれいになる技術です。酸化チタンを塗ってある建材ですと、油汚れが付いたとしても、太
陽光が当たると、汚れが分解されてきれいになってしまいます。




たくさんの油汚れが付いたとしても、雨が降れば超親水性効果が働き、水が表面を全部覆い
ますので、油が浮いてしまい、汚れが流されてしまいます。洗剤を使わなくても表面の洗浄が
できることになります。これが光触媒によるセルフクリーニングということです。






     
先生のご自宅の外壁も光触媒でコーティングされているのでしょうか。


                        
 藤嶋先生 

      そうです。汚れが全然付かないので、いつもきれいになっています。






以前、先生からいただいたこの「天寿を全うするための科学技術」というご本のタイトルには、
初め、どのような意味があるのかと思っていましたが、読んでみると、光触媒が、ガンの治療
やいろいろなウィルスなどにも効果があり、科学によって、人が病気になるのを防ぎ、また治
療できることが、天寿を全うすることにつながっているということが理解できました。




                         藤嶋先生


天寿を全うすることができるためには健康を維持し、必要な食糧があり、なるべく快適な生活
空間
が必要です。光触媒は、空気や水をきれいにし、殺菌をすることができるなど快適な空
間を作ることができる科学技術の一つです。







ところで、先日は東京理科大学・野田キャンパスで開催された「科学のマドンナ」に生徒と共に
参加し、先生方や学生の皆さんのユニークな実験と解説で、とても楽しくて有意義なひとときを
過ごさせていただきました。

先生は、常日頃から「勉強は楽しみなさい。」とおっしゃっていますが、今、勉強している生徒
の皆さんに、何か学習していく上での心構えや気持ちの持ち方などメッセージいただければと
思います。




                         藤嶋先生


ええ、まあそうですね、理科という教科はとてもおもしろい科目だと思っていますが、近頃、「理
科離れ」
ということで、ちょっと心配しています。

これからの日本は、
科学技術立国として生きていかなければならないわけですから、是非若い
方々には、科学に関心をもっていただくことがとても大切であると思っています。それには私自
身の出前授業の経験から、私の専門とする化学以外でも理系科目はやはり、実験を通して、
その面白さを実感してもらうのが生徒に興味を理系に引きつけるベストの方法だと感じていま
す。

そして、それらを通じて、小学生や中学生の生徒の皆さんには、理科や科学技術の面白さを
味わってもらいたいと思います。皆さんの身の周りには、
面白いこと不思議なことがいっぱ
いあります。その面白いことを理解して、楽しく勉強することが一番大事ではないかと思います
。理科好きの子どもたちが一人でも増えることを願っています。





最後になりますが、現在の地球環境をめぐるエネルギー問題を解決するための一つとして、人
工光合成は非常に重要な役割を担うであろうと確信しています。そこでこれからの人工光合成
の展望について先生のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。






                         藤嶋先生



はい、わかりました。現在、私共の研究室で
工藤昭彦教授が世界をリードして一生懸命に
取り組み、さまざまな成果を残しています。しかし、正直に言ってすぐ
実用化されるのは難しい
と思っています。それには
地道な研究が必要です。将来、人工光合成が実際に利用されるよ
うになれば、それは素晴らしいことですね。




  
私たちも、そうなりますよう期待しています。  本日はありがとうございました。




                                                    
   藤嶋先生


                   ええ、是非、期待していてください。

                    





                           
                        インタビューのあと、研究室に案内され、現在の研究内容を詳しく説明していただきました。

   
 酸素が発生しています。  実験設備の一部




東京理科大学理学部応用化学科の研究グループは、紫外線や可視光の照射によって水を分解する反応を起こして、水素ガスを発生させるタンタル酸ナトリウム系などの光触媒の開発を行っています。

現在、日本では燃料電池の燃料ガスなどに用いる水素ガスをつくる製法の実用化開発が進んでいますが、現在開発中の水素ガス作製法の多くは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃から水素ガスを作っています。


それに対して、東京理科大学の水素ガス作製法は、水から常温・常圧で水素ガスをつくるため、化石燃料に依存しない点が優れていると言えます。


紫外線光に反応する光触媒は、NiO/NaTaO3:Laと表記されるタンタル酸ナトリウム複合酸化物です。その方法は、まずNiO/NaTaO3:La粉末のスラリー(濃厚な懸濁液)をガラス基板上に塗布して乾燥させます。

そしてこの塗布したガラス基板をNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液中にひたし、出力400Wの高圧水銀ランプの紫外線光(波長270nm)を照射すると、
水素ガスが1時間当たり500ミリリットル酸素ガスが同250ミリリットル、発生します。


しかし、NaTaO3:Laは、エネルギーが大きい紫外線にしか光触媒の効果を発揮しません。この課題に対して、東京理科大学研究室は可視光による水素ガス作製用に、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム):Rh(ロジウム)を、酸素ガス作製用にBiVO4(バナジウム酸ビスマス)という光触媒の組み合わせを見いだしました。




               

        
左がチタン酸ストロンチウム、右がバナジウム酸ビスマス





SrTiO3:RhとBiVO4の両光触媒粉末は
可視光の波長550nmまで利用できると言われています。現時点では、量子効率は0.4%とまだ低いですが、今後はこの量子効率を実用化に適した30%レベルまで向上させる計画が進行中です。

この技術は、将来のエネルギー源として重要視されている水素ガスをつくる重要な手法として注目を集めているということです。



将来の
エネルギー革命の一つとして、この技術が一刻でも早く実用化できることを私たちは期待したいと思います。



                    以上です。




                                    


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        平成24年 11月25日

      
東京理科大学 「秋のマドンナ」

   
    野田キャンパス カナル会館・各研究室



科学のマドンナ プログラム
                                           
   時間         内容 実施会場
 9:30- 受付 カナル会館3階
10:00-10:05 開会のことば
10:05-10:35 東京理科大学 学長講演
10:40-12:00 サイエンス・ガールズによる講演・トークセッション
「サイエンスCafe」
12:00-13:00 昼食(お弁当が出ます)
カナル会館
1階学生食堂
13:00-14:20

14:30-15:50
      実験体験

 「アポトーシスをみてみよう」

 「細胞からDNAをとってみよう」

 「圧電素子を用いて光るうちわを
  作ろう」

 「水に次ぐ消費量世界No.2の
  材料に触れる」
各研究室
16:00-16:30 閉会式・アンケート記入 カナル会館3階


  3つの目標

                     「SCIENCEを知る」

様々な実験を体験し、「理科は面白い」という認識をもってもらう


                    「RESERCHを体験する」


普段の生活では体験できない、専門的な実験装置などを用いた研究の一部を体験しながら、
年が近い女子大学生と交流会などを通じて理系女性を身近な存在として感じてもらう


                
 「PROFESSIONAL」に目覚める」

女性の理系職業者の講演を聴くことで自らの将来像をイメージしてもらう。そして、どのような
キャリアパスがあるか、理系と関連する職業の可能性を知ってもらう。



                                                本日の模様

   
  今日の予定説明  実験体験
   
 アポトーシス(左のピンクの濃い部分)  圧電素子を使った「光るうちわ」




  アポトーシスについて


細胞は増殖するだけでなく、さまざまな原因によって死滅しています。現在では身体の形成段階で
不必要な部分の細胞が、
自発的に死滅したり、化学物質や放射線で遺伝子に障害を負った細胞
が自発的に死ぬ現象が確認されています。

このような自発的に細胞が死ぬ現象を
アポトーシス(Apoptosis)と呼んでいます。アポトーシスは
遺伝子のプログラムに沿った細胞死で、受動的な壊死とは区別されます。




  アポトーシス   壊死(ネクロ-シス)
 細胞死  能動的(遺伝子のプログラム)  受動的(傷害などの外因)
 炎症  なし  あり
 核・DNA  DNAの規則的断片化  顕著な変化はみられない



 アポトーシスのしくみ


          


  DNAが修復不能になると、その細胞にあるミトコンドリアが自分自身の表面に穴をあけ、「
細胞を殺せ」という指令となるタンパク質・
チトクロム(シトクロム)Cを放出します。


②  すると、細胞を切り刻む
「カスパーゼ」というタンパク質が活動を開始し、細胞を構成するあ
りとあらゆるタンパク質をばらばらに切り刻んでいきます。


③  さらにカスパーゼの動きを受けて、核内のDNAを分解するタンパク質
(DNA分解酵素)も活
性化し、DNAもばらばらに切断されていきます。


④  DNAが断片化されると、細胞の死は決定的でもう生き続けることはできません。その後、細
胞は
、ばらばらの小袋にちぎれ、細かくなっていきます。


⑤  断片化された小袋は、その後、
免疫細胞などに食べられ、部品は体内のほかの構成要素と
して再利用されます。



以上のように、
ミトコンドリアの指令で細胞を殺すことで、がん細胞が広がって個体が死んでしまう
ことを防いでいるのです。この細胞死をアポトーシスと呼んでいます。



                                                   

  平成24年 8月3日(金)~8月10日(金)

 
「創造性の育成塾」  Y君レポート


8日間にわたっての育成塾の合宿で、僕の心の中で大きな変化がありました。それは、
「何事も、
自分で考え、自分で決め、失敗を恐れずに積極的に学んでいくという心を持
つことが大切である」ということに気がついたことです。

それまでは、友人の言ったことや、周りの行動に同調することがあった僕にとっては何
か勇気をもらったような気がしています。
自分は他の人と違ってもいいんだと思う気持
を持つ。またそうすることによって、他人の考えも理解できるような気がしています。

それは、有馬塾長や多くの先生方の講義から、そして今回の合宿に参加した多くの友
人との交流によって会得出来たのではないかと思います。育成塾は科学の学習の場で
はありましたが、これからの生き方について考えることができた実りあるものとなりまし
た。

                




                  育成塾 行程

8月3日の午後3時にバスで東京駅を出発し、2時間余りで富士吉田市にある「人材開
発センター・富士研修所」という所に到着しました。

バスの中では、初対面の人ばかりだったのですが、すぐに仲良くなり、学校の話やトラ
ンプをして、時間があっという間に過ぎていった感じです。

到着して初日は
オリエンテーションがあり、その中でみんなの前で自己紹介をしました。
非常に緊張しました。

2日目からは、朝6時15分に起床、6時55分に広場に集合して、7時から
ラジオ体操
をします。そのあと5分間、
ランニングをしてからみんなと一緒に朝食をとり、少し休憩
してその日に予定されている授業に臨みます。

かなりの
ハードスケジュールで、初めはきつかったでしたが徐々に慣れてきて充実感を
感じるようになってきました。実験や講義の合間の昼食や、1日の授業が終わった後の
夕食はとても楽しみでした。

食事のメニューは、洋食系は
ハンバーグ・チキンステーキ・パスタ・サラダ等で、和食は
ブリマグロなどのお刺身、タチウオなどの焼き魚もでました。どれもおいしかったです
。ご飯はおかわり自由なので、僕はおかわりしましたが、友人の中には絶対におかわり
しない人もいて、将来の偉大な科学者になる人は小食なのかと思いました。

就寝時間は午後10時30分で、昼間の授業で疲れているのでほとんどの人は早く寝て
いたようです。しかし、合宿に参加しての感想を述べる
「まとめの発表」の前日は、発表
の内容を1分間にまとめなければいけませんので、夜遅くまで頑張っていた友人が多く
いました。

あっという間に8日間の合宿が終わり、最終日に有馬塾長から、一人一人に
修了証
渡されました。そして有馬塾長の「
温暖化を中心とする現在の地球環境とそれに対する
取り組み方」のお話を聞き、有意義な合宿が終了しました。

このような貴重な体験をすることが出来たのは、さまざまな先生方やスタッフの皆さんの
おかげです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。



       それでは僕が撮ってきた写真の一部を紹介します。



   
部屋の窓から撮った写真です。
仲間3人で1室です。
富士山の5合目までバスで20分
これから富岳風穴に向かいます。
   
 花の名前を忘れてしまいました。  軽石です。
   
 赤茶けた岩石です。 富岳風穴の中の氷柱です。
中は2~3℃ぐらいでした。
   
 風穴の中で放射線量を計りました。 うるち米のせんべいを粉々にして
ヨウ素液をかけたところです。
   
 うるち米ともち米の比較です。 リスーピアの 大気圧の実験です。
   
「炭素の行方を追いかけよう」実験  





                                             育成塾HPより

   
 オリエンテーション・自己紹介  開講式
   
 スライムで温度変化を調べる  プラナリア
   
 カイロの中身は鉄粉  右端が酸素注入後の変化
   
 超伝導  「化学変化で絵を描こう」





平成24年 7月8日・15日(日) 

地球温暖化対策としての人工光合成



2010年に、ノーベル化学賞を受賞された根岸英一教授(アメリカ・デューク大学)が翌年早々に
「地球温暖化対策として日本は
人工光合成の研究に力を入れるべきだ」と、文科省に研究支援を
訴えたことは、かなり話題になりました。

また、昨年の「創造性の育成塾」の中でも、白金・パラジウムなどが環境問題に おける触媒として
重要な役割をしていることなどを根岸教授は解説されていましたが、今回のサイエンスフロンティ
アクラスでは「環境問題を考えるシリーズ」の続編で、太陽エネルギーを使って、水や二酸化炭素
から
燃料化学工業用の原料として使える物質を工業的に合成するしくみと技術に注目しました。



                       
  植物の光合成




                


まず、光のエネルギーよって根から吸い上げられた水が分解され酸素分子が生成される反応があります。その時に電子と水素イオンが放出されます。これを明反応といいます。


                2H0 → 4H + 4e + 0
                
水分子2個  水素イオン4個  電子4個  酸素分子1個


次にその水の分解で得られた電子と水素イオンに、大気中から気孔を通して取り入れた二酸化炭素を結合させ、貯蔵可能なエネルギーである炭水化物(グルコース)を作ります。暗反応と呼んでいます。


               
    24H +  24e  + 6CO →  C12 + 6H0 
  
水素イオン24個  電子24個   二酸化炭素6個   グルコース1個    水分子6個







                        
  人工光合成




人工光合成も植物の反応と同様に2段階に分けられますが、後半の暗反応を水素液体燃料などに工業化しようとする試みです。



 (1)  水分解のあとの水素を取り出す。



    
2H  +  2e-  →  H

      


          
用途   水素燃料電池車の燃料

             





燃料電池に水素を使うために、取り出した水素は分離しなければなりません。
その時に使われるのが
パラジウム膜
です。パラジウムは水素のみを通す特殊な金属です。

下の図に示すように、パラジウム上で水素分子が
水素原子となり、金属内を拡散します。
その後、水素原子同士が結合して水素分子となります。
水素以外の物質は、パラジウム内を拡散することができません。

    
        

             
膜反応工学研究室HPより








 (2)  酸素と反応させて過酸化水素に変える。



              
 用途

消毒薬として古くから「オキシドール」として使われていますが、工業用としては、上記の水素燃料電池のパラジウム膜を使わない
新しい燃料電池の燃料として期待されています。これが可能になれば、大幅なコストダウンが実現出来ます。





   
 2H  +  2e-  +  0  →    HOOH


      





 3)  二酸化炭素と反応させて、ギ酸を作る。




    
2H  +  2e-  +  C0  →    HCOOH



       



                   
用途


水素は爆発しやすく
貯蔵や運搬が難しい気体です。そこで二酸化炭素と反応させて液体のに変換すれば貯蔵することができます。そして使用するときに水素に再び変えて使うことが可能です。






 (4)  一酸化炭素と反応させて、メタノールを作る。




     
4H  +  4e-  +  C0  →    CHOH


                  用途


接着剤酢酸の合成原料としてよく知られていますが、化学反応の溶媒として広範囲に使われ、またガソリン車に代わる自動車の新しい燃料としても期待されています。









 (5)  窒素と反応させてアンモニアにする。




    
 6H  +  6e-  +  N  →    2NH


                  
用途



アンモニアは
硝酸に代表される化学薬品や、植物の窒素肥料の原料になります。化学産業の素材としては、工業的に非常に重要な物資です。









  サイエンスフロンティア 自己表現活動問題 演習



自然界の光合成では、葉緑素やさまざまな酵素が反応を促進させる触媒の役割をしています。ただ水に光をあてても酸素や水素は発生しません。

人工光合成を行うためにも何かしらの触媒が必要です。そしてその材料として最も適しているのは、光を吸収して反応を引き起こす「光触媒」です。

そこで、環境に優しい将来のエネルギー資源として期待されている水素・酸素を量産化するプロジェクトが立ち上げられ、あなたがそのチームリーダーに選ばれました。

光触媒を利用してどんな計画を立てますか?目的と方法を図を用いてわかりやすく説明してください。(複数例でも可)

 ※ あらかじめ生徒の皆さんには、以下の書籍を参考にして「光触媒」について簡単な説明をしてあります。



 参考図書
 
                      

       藤嶋 昭(あきら) 著          垰田(たおだ) 博史 著               
東京理科大学学長                   産業技術総合研究所
神奈川科学技術アカデミー
(KAST)最高顧問   サステナブルマテリアル研究部門
横浜サイエンスフロンティア高校           環境セラミックス研究グループ長
スーパーアドバイザー                 光触媒製品技術協議会会長                                   
    発行 かわさき市民アカデミー          発行 日刊工業新聞社

    
                 

※ 藤嶋先生のこれまでのご活躍が、平成24年7月現在、神奈川新聞 「わが人生」に連載されています。






 生徒解答例


  目的  

Ti0(酸化チタン)による光触媒を利用し、酸素・水素を海で発生させるために大規模な装置を設置する。



 方法

(1) 海面に浮かべるために表面積が大きくて、光を透過させるために
透明な浮き袋を作る。そしてその中に水と粒状の光触媒ペレットを詰め込み、陸地と連結しておく。1日に1回、機械を使って袋の中の酸素等を集め、陸地へ管を通じて送り精製して、複数のパイプラインで消費地へ輸送する。

(2) 停泊している船に
光触媒フィルムを貼り、水中部分で人工光合成を行い、発生した酸素を船内に取り込む。回収した酸素・水素は船内で液化して、陸地に運ぶ。光触媒フィルムにより船体に汚れがつかないという利点もある。

(3) 
粉末化した光触媒を混ぜ込んだテトラポッドを作り、浅瀬に多数設置し生成物を回収する。


                           
I.Aさん(図は省略)



  目的

人工光合成による生成物を量産化させるために、光触媒を使った物質をできるだけ大きな面積に設置する。


 方法

光触媒を
コーティングした大きなプラスチックボードを多数連結し、海面下に置く。また、プラスチックボードを透明なものにしておけば、光が通過し、同じ場所で何層にも設置でき、より多くの生成物が期待できる。

海上基地を作り、表面に発生した酸素を回収し、その際にできる水素イオンを
水素分子にしてさらに液化して陸上に送る。


                        T.Fさん(図は簡略化しました)

               

               

 
              酸化チタンをコーティングしたプラスチック
             
             






7月6日は
理化学研究所横浜研究所で恒例の「七夕ミーティング」が開催されました。
若手研究者によるスピーチ・ポスターセッションと3名の科学者の講演が行われました。
分子レベルでの生命メカニズムの探求はかなり高度な内容でした。

   
 理研・横浜研究所 今日のお知らせ
   
 和田昭允・組織長の開会挨拶  実験人類遺伝学の確立
   
 ミオシン1b(タンパク質)のチューブ形成講演  林崎良英・オミックス領域長の閉会挨拶


      
        
2012年7月6日 記念写真 (理化学研究所・横浜鶴見

















          平成24年 7月1日(日)
 

 
DNAに関する最新情報 (長寿遺伝子とDNAの人工合成)

 
& 身の回りにある材料を使ってDNAを取り出す実験



       本日実施したDNAを取り出す実験についてご紹介致します。


         その前にDNAについての簡単な基礎知識です。


        DNAは、
二重らせん構造をした美しい分子です。

                  


DNAのらせん構造の骨組みになる主鎖は
デオキシリボリースリン酸からできています。
このDNA鎖はひとでは全体で
30億塩基対ありますが、そのほとんどの配列はすでに決定
されています。

デオキシリボリースは、5個の炭素からなる環状構造を持った糖で
五炭糖といいます。
わずかに甘い味がします。

リン酸(H
PO)は、DNAやATP(細胞内でエネルギーを受け渡す乾電池のようなもの)の
重要な構成物質です。

これに
塩基が加わったものがひとつのユニットです。そしてDNAは、「塩基=デオキシリボリ
ース=リン酸」
のユニットを1個1個積み上げて長いテープのようにしたものです。

塩基とは一般にはアルカリ性の物質のことをいいますが、DNAでは、特に、
アデニングア
ニン
シトシンチミンの4つのことをさします。


DNAは塩基の部分だけが
遺伝暗号を記録しています。DNAでは、アデニン(A)・グアニン
(G)・シトシン(C)・チミン(T)の4種類の塩基がテープのように直線的に並び、ヘッド代わり
の酵素(タンパク質)がそれを順番に読み取っていきます。


              


アデニンとグアニンは
プリンといい、六角形五角形がくっついた形をしています。シトシンと
チミンは
ピリミジンといい、六角形をしています。そしてDNAの塩基対を形成するときは必ず
ピリミジンとプリンがペアになります。





              



DNAの鎖は2本がらせん階段のようにペアになった構造をしています。これをダブルへリッ
クス
といいます。この際、上で説明したようにAとT、CとGはお互いに対になって結合してい
ます。これを塩基の相補性と呼んでいます。


プリンはいつもピリミジンと向かい合っています。このへリックス構造は塩基10個で1回転し
ます。アデニンとチミンの間は2つ、シトシンとグアニン間には3つの水素結合があり、二本
鎖構造を保っています。
 


そして、塩基は3文字(トリプレットとよんでいます)が1種類のアミノ酸に対応した暗号になっ
ています。この3文字は
コドンといい、それぞれが20種類のアミノ酸のひとつを指定してい
きます。
          

いろいろなアミノ酸がたくさん集まると、そのアミノ酸の種類によってさまざまな
タンパク質
つくられます。タンパク質はわたしたちの身体の材料や酵素となり、生命活動を維持していま
す。


少し説明が詳しくなってしまいました。この内容は高校の生物で学習することなので、
ほんのちょっとわかっただけでも大丈夫です。

さてこんどはおもしろい実験です。動物でも植物でも、細胞の中には必ずDNAがあ
ります。DNAはデオキシリボ核酸の略で、生物の遺伝を支配する物質です。

長いひも状の分子ですが、学校にある顕微鏡では見ることができないほど小さいも
のです。

しかし、たくさん集めて束にすれば見ることができます。今日はブロッコリーを使って、
DNAを取り出します。

                           
   
 ブロッコリーを細かくしていきます。  すり鉢とすりこぎ棒ですりつぶします。
   
 10%の食塩水と中性洗剤を混ぜます。  中に入れてよくかき混ぜます。
   
 フィルターペーパーで濾します。  順番に入れていきます。
   
 ろ過した液ができました。  99.5%のエタノールを加えます。
   
 ガラス棒で軽くかき回します。  白い綿のようなものがDNAです。
   
 すくってみるとドロッとしています。  触るとヌルヌルします。



 



                                            





        平成24年6月30日(土)  課外授業

  
    
 施設見学と公開講座 (ダークマター・ダークエネルギー)

        JAXA 筑波宇宙センター 

      KEK(高エネルギー加速器研究機構)




                                     



                                  


筑波宇宙センターは筑波研究学園都市の一画にあり、1972(昭和47)年に開設しました。約53万平方メートルの敷地に、研究学園都市にふさわしい緑ゆたかな環境と最新の試験設備を備えた総合的な事業所です。

このセンターは、人工衛星やロケットなど将来の宇宙機の研究開発や開発試験、そして打ち上げた人工衛星を追跡管制するわが国のネットワークの拠点として重要な役割を担っています。さらに国際宇宙ステーション計画に向けた
「きぼう」日本実験棟の開発や試験、宇宙飛行士の養成などを行っています。


   
 入り口です。  HⅡロケットの展示
   
 宇宙服について説明を聞いています。  HⅡロケットの歴史
   
HⅡA/Bロケット第1段エンジンLEー7
Aの主な燃料は
液体水素液体酸素
とても環境に配慮されたクリーンエネル
ギーとなっています重量は約1.8トンで
ジャンボジェット機1機分の推進力を生
み出します。またターボポンプの改良に
より信頼性を高め、製造コストを低減し
ました。
LEー5はH-1ロケットの第2段エンジ
ンとして1975年から開発された
日本
の実用ロケットエンジンです。
極低温の液体ロケットエンジンとして
、軌道上で2回燃焼させることができる
再着火機能を持っています。
   
 ISS(国際宇宙ステーション)  日本実験棟「きぼう」
   
   宇宙ステーション補給機(HTV
HTVはISSに水・食糧・衣料などの生活
物資や新しい実験装置などを運ぶ、

本が開発している
補給機です。HTVは、
HーⅡロケットで
年間1~2機打ち上げ
られ、ISSにさまざまな物資を運び、IS
S計画を支えていきます。
 







                                      



                                         

高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、加速器と呼ばれる巨大な装置を使って
基礎科学の研究を行っています。加速器とは、電子や陽子などの粒子を加速して、
高いエネルギーの状態を作り出す装置です。

加速器を用いて行われる研究により、物質の起源を宇宙誕生時までさかのぼって探
求し、また、物質の成り立ちや生命体の活動のしくみを解き明かします。

先日のCERN(スイス・フランス)で発表された
「ヒッグス粒子発見」も加速器を使った
実験によっての成果です。

日本のKEKの加速器システム「Bファクトリー」で行われた実験は、小林誠・益川敏英
両博士が1973年に発表した
「CP対称性の破れ」を証明し、両博士の2008年ノー
ベル物理学賞受賞
に貢献しました。




                                        


           宇宙の行く末を決めるふたつの成分

1929年にアメリカの天文学者、エドウィン・ハッブルは、遠方の銀河が後退する速度を観測して、距離が遠い銀河ほどより早い速度で地球から遠ざかっていることを発見しました。つまり、宇宙が膨張しているということが分かったのです。

宇宙が今後どのようになっていくのか、を知るためには、今の宇宙を成り立たせている2つの成分を知る必要があります。それらは
「宇宙膨張を減速させる成分(A)」「宇宙膨張を加速させる成分(B)」です。

(A)は宇宙にある物質の量に関連があります。物質と物質の間では重力が働きます。この重力が引力となるので、宇宙膨張は減速されます。一方、(B)は物質とは反対の負の圧力をもつ成分で、アインシュタインが、宇宙の膨張や収縮を防ぐために方程式に導入した「宇宙項」としても知られています。

この成分は全く正体不明なため、
「ダークエネルギー」または「暗黒エネルギー」と呼ばれています。最近の超新星の観測から、現在宇宙膨張はどんどんと加速されているということが分かり、暗黒エネルギーが現実に存在する可能性が高くなってきました。

更に2つの成分の比率も分かってきました。(A)は宇宙の27%(B)は73%。なんと、宇宙の大半がダークエネルギーで占められているという訳です。

しかも、これまでに私たちが知っている原子を作っている物質は、宇宙を満たす物質やエネルギー全体の4%にしかすぎないため、残りの23%を占める未知の物質があることも分かったのです。

物理学者は、この正体の分からない物質を
ダークマター「暗黒物質」とも呼ばれます)と名づけました。





   
 KEKの入り口です。  ノーベル賞メダルレプリカの展示です
   
 宇宙の始まりの大きさ  ニュートリノ振動(変身)を調べます。
   
 重力によって空間が曲がります。  ランチタイム
   
 宇宙から降り注ぐ宇宙線  私のからだを通過していきました。
   
 何かが星を引きつけています。  重力で光が曲げられています。
   
 ダークマターは確実に存在します。  宇宙線の軌跡が見えます。
   
 ダークマターは電荷0です。  物質と作用しません。
   
 宇宙大規模構造の中心はダークマター   物質を貫いていきます。
   
 陽子の衝突実験  ダークマターが飛んだ形跡?
   
 ここからはダークエネルギー  宇宙の大きさ
   
 アインシュタイン理論通りの宇宙  ???
   
 宇宙の加速膨張の証拠  遠ざかる星ほど赤くなります。
   
 高次元の宇宙は巻かれている?  私たちの宇宙は四次元の膜?



  6月30日(土)にフロンティアクラスの課外授業として、茨城県・つくば市にあるKEK(高エネルギー加速器研究機構)に行って来ました。
午前中は施設見学、午後は公開講座「ダークマターとダークエネルギー」を聴講しました。

サイエンスカフェのような雰囲気で、講義最中でも質問OKで、いろいろな疑問が飛び交いましたが、それにひとつひとつ丁寧に答えられていたのがとてもよかったでした。

中学生には少し難しい内容でしたが、基礎的な知識を会得し、それを論理的に組み立てたり創造したりして、自分なりに宇宙のしくみに想いを馳せるという楽しさを味わえたのではないかと思います。

詳しい報告は、”フロンティアクラス2012”のページにアップしましたので興味のある方はご覧になってみてください。

          
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           宇宙で目に見える物質はたった4%


                

宇宙が何でできているかを調べてみると、私たちが知っている、陽子や中性子など”目に見える”(観測されている)物質は全体の約4パーセントにすぎません。その5~6倍は未知の物質(ダークマター)が占めていると考えられます。残りはダークエネルギーと呼ばれている正体不明のものです(図1)。これまで観測に利用されてきたのは、光やX線、赤外線などの電磁波ですが、”暗黒”物質というのは、電磁波での観測では見ることができないため、”暗黒(ダーク)”という呼び名がついています。


     
観測の成功は新しい物理と宇宙の謎の解明につながる

ダークマターの正体は分かっていませんが、今までの観測事実からいくつかのその性質が推測されます。(1)電荷を持たず(2)ある程度重く(3)安定である、ことです。このような物質は、現在われわれが知っている素粒子では説明ができず、新しい理論に基づく、未発見の素粒子が必要となります。その候補の一つがニュートラリーノと呼ばれる素粒子です。ニュートラリーノや、その他のダークマター候補については、下記の推薦図書のページに解説してあります。


  ※ ダークマターとダークエネルギーについては、関連事項も含めて「塾長の推薦図書」の vol.4 ”宇宙と量子論”、vol.5 ”天体”に解説してあります。少し物理の専門用語が出てきますが、興味のある方はご覧になってみてください。
                 
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2012年 6月30日(土) 課外授業

   
 途中で筑波のJAXAに寄りました。  HⅡロケットの展示
   
 近くで見ると大きさに圧倒されます。  筑波大学の構内も寄り道しました。
   
 さてこれから目的地に向かいます。  到着しました。
   
 入り口です。  広大な敷地です。
   
 筑波山  前に席を取りました。
   
 休憩時間も質問の長い列ができました。  たとえが絶妙でおもしろい講義でした。



 春休み中に課外授業の一環として、放射能測定(測定機器は鶴見区からの貸与)を行いました。
主に鶴見から川崎にかけての臨海地区を中心に測定しましたが、特に健康には問題ない数値でした。

ところが公園の木々の根本の草や枯れ葉の部分では、同じ所の1mの高さの測定値と比較すると若干高めの数字がでました。
ほんの僅かの違いですが下に滞留していることがわかりました。
(詳しい報告は後日、フロンティアクラスのページにアップする予定です)



   
 測定器(堀場製作所製) PA-1000Radi  0.058μSv/h(マイクロシーベルト/1時間)
   
 鶴見・入船公園 0.053μSv/h  その下は、0.071μSv/h
   
鶴見・ 汐入公園 0.061μSv/h  その下は、0.096μSv/h



 神奈川県立青少年センターで行われた科学部主催の「子どもフェスティバル」で工作教室のお手伝いをしてきました。その模様です。


1月22日(日) 青少年センター

   
 1階ホールで打ち合わせ  万華鏡工作
   
 1番人気は、くるくるレインボー  ロボットプログラミング体験
   
 日本科学未来館の特別出前授業  青少年センターにASIMO君登場




 21日の土曜日はYES(横浜市地球温暖化対策統括本部)のイベントで緑区エコ講座「地球温暖化を知ろう」が十日市場の「にいはる里山交流センター」で開催されましたので参加してきました。

写真家の水本俊也(しゅんや)氏が、海面上昇の危機にあるとされる南太平洋の島”ツバル”と氷の大陸”南極”を旅し、見てきたこと、感じたことなどを、現地で撮影した多くの写真と共に紹介していただきました。

昭和を彷彿とさせる里山の旧民家の中で、各々畳の部屋に自由な格好で座りながら質疑応答も交えて、書物やネットでは知ることのできないツバルや南極の貴重なお話を伺い、有意義なひとときを過ごすことが出来ました。

詳しい報告を科学講演のページにアップしました。                  
科学講演・セミナー・実習等


 
 十日市場駅から徒歩15分  にいはる里山公園
   
 民家入り口  旧奥津邸
   
 今回のテーマ  写真家の水本氏



水本氏のURL click